【天皇賞・春】アイアンバローズ タイトルホルダーとディープボンドの間に割って入る!
2022年4月27日 05:30 あらゆる要素から展開を多角的に分析する春のG1企画「展開王~前か後ろか」。今週は春の最強ステイヤーを決する伝統の天皇賞・春。初回は勝負どころの「最終4角の位置取り」に注目する。今年はタイトルホルダーVSディープボンドの2強対決だが「両雄並び立たず」の格言もある。割って入る「一角崩し」は可能なのか。浮かび上がったのはアイアンバローズだ。
「4・4」と「35秒2」
まずこの数値が、本日の論点の最重要ポイント。これは過去10年の天皇賞・春で3着以内に入った馬の「最終4角通過順」と「上がりタイム(3F)」の平均値。最終4角で好位4番手前後をキープ、かつ3F35秒台の末脚を使えないと好走は苦しい。裏を返せば直線だけで勝負する追い込み馬は苦戦する傾向。実際、過去10年で4角10番手以下から3着以内に入った馬は4頭だけ。好走例がある以上、可能性がゼロとは言えないが確率は低い。3000メートル近くを走っての、さらなる末脚勝負は相当厳しいと言わざるを得ない。
長丁場なので序盤の位置取りはともかく、最終4角では「4・4番手」の確保が必須。この条件をベースに、今年の出走馬を分析してみる。芝2500メートル以上を3戦以上している馬に絞って4角通過順と上がりの平均を出した。まず2強を見ると
タイトルホルダー
「1・3」「35秒7」
ディープボンド
「3・6」「36秒2」
数字だけなら4角通過は両馬共に合格。上がりはタイトルが優勢だが、いずれにせよ前を行くタイトルを視界に入れながらボンドが追う展開が目に浮かぶ。両雄に割って入るなら、2頭の間で運べる馬が理想。なぜなら菊花賞を逃げ切ったタイトルより前、もしくは並走で運んでもスタミナ比べで不利は明白。一方、しまい確実なボンドの後ろから差し切るのも容易ではない。そこで浮上するのが
アイアンバローズ
「2・7」「35秒0」
あくまで平均値とはいえ、2頭の間のポジションで運べるとすればこの馬。ステイヤーズS、阪神大賞典で共に先行して2着と、スタミナにも不安はない。
天皇賞・春における直近の2強対決は17年。キタサンブラックが単勝2・2倍、サトノダイヤモンドが2・5倍で人気を分け合った。結果はキタサンが4角先頭で押し切り、同5番手のダイヤモンドは追い上げ届かずの3着。今年と状況は似ている。割って入ったのは終始、2頭の間のポジションをキープし、レース2位タイとなる3F35秒2の脚で伸びたシュヴァルグランだった。アイアンバローズの上がり平均35秒0は2強を上回る。あわよくば差し切りまで。そんな期待を抱かせる魅惑の伏兵だ。
▽阪神芝3200メートルの特性 京都改修による代替開催となる天皇賞・春のため、昨年から新たに設定されたコース。向正面半ばからスタートし、1周目は外回り。2周目は内回りを通過する。最終3角、残り800メートル地点から緩やかに下り始め、各馬が一斉にスパート。最後の直線は359.1メートル。残り200メートルから高低差約2メートルの急坂を一気に駆け上がる。直線が平たんな京都に比べ、切れ味よりも末脚の持続性を求められる。レースが行われたのは昨年の天皇賞・春、昨年、今年の松籟Sと3戦のみ。少ないサンプルからは先行有利、差し苦戦の傾向だ。