【凱旋門賞】武豊 10度目挑戦、ドウデュースと「かなう夢、が今回であってほしい」

2022年9月27日 05:15

ドウデュースとのコンビで悲願の凱旋門賞制覇に挑む武豊

 JRAが馬券発売するフランスG1「第101回凱旋門賞」(パリロンシャン芝2400メートル)が10月2日に迫った。今年は日本馬4頭が悲願のVに挑む。日本競馬のレジェンド、武豊(53)は今年のダービー馬ドウデュース(牡3=友道)とのコンビで10度目のチャレンジ。誰よりも熱い、凱旋門賞にかける思いを聞いた。

 ――自身10度目となる凱旋門賞挑戦。今の心境は。
 「凱旋門賞が日本の悲願、という表現を聞くと要因の一つはオレにあるよね!?と、たまに申し訳ない顔をしています(笑い)。だって9回も挑んで勝っていないし、どこかで勝っていれば悲願ではないわけですからね。でも、ディープインパクトでも獲れなかった現実がある」

 ――凱旋門賞を日本に知らしめた功労者こそ武豊だ、とも言える。
 「その言葉に感謝します。ボクが凱旋門賞に挑んだ1度目(1994年ホワイトマズル)は日本のホースマンですら関心は低かったくらい。でも、当時から夢の舞台だと思っていたし、それは今も変わらない。そうそう、クリストフ(ルメール)が(24日の)中京で通算1600勝を達成時に“凱旋門賞は世界一、大きなレース”と言ったじゃないですか。フランス人の彼がPRすると説得力はあるし、同感です。もちろんダートなら本場の米国にケンタッキーダービーや、BCクラシックなど世界中の注目するG1はあるけど、芝なら凱旋門賞が頂点のレース」

 ――今年の相棒はダービー馬のドウデュース。
 「ダービー馬で参戦できるのは誇らしい。日本のエース格だという自負もあるし、ファンの熱量も伝わっている。ドウデュースの人気を探るとオーナーとボクの関連性があるでしょうね」

 ――キーファーズの松島正昭代表は“武豊の凱旋門賞をサポートしたい”として馬主になったのは有名な話。それが現実味を帯びてきた。
 「ドウデュースで2歳G1の朝日杯FSを勝った時はオーナーにとって初のG1勝利で、ボクもG1完全制覇へリーチをかけることができた。あの出来事だけでも喜びを分かち合えたのに、まだ続きがあってダービーを勝って凱旋門賞に挑戦!そんな漫画みたいなことってあるんだな…と感慨深いです」

 ――前哨戦のニエル賞を使って本番に挑むローテーション。全て予定通りか。
 「ニエル賞の結果(4着)は強がるわけではなく気にしていない。むしろ(前哨戦に)着順を最初から意識せず出走する、と公言したのはこれまでの日本馬では初めてじゃないですか。ニエル賞は凱旋門賞に向けて体調を上げていく意図のみで使ったレース。“本番もここを走るんだぞ”と、人馬の意思疎通はできました」

 ――日本馬4頭を含めた今年の顔ぶれ。正直な胸の内、見通しを。
 「(10戦無敗の)バーイードが見送ったことにより報道で伝えられる通り混戦ムード。ドウデュースは状態がアップしているはずなので、いいイメージを脳裏に描けます」

 ――初めてダービーを勝った(98年スペシャルウィーク)のが10度目の挑戦で、凱旋門賞挑戦も今回が10度目となる。武豊騎手の夢を応援するファンは多い。
 「夢、というのは語るだけでも楽しいもの。人が集まって、酒を酌み交わしながら語るシチュエーションは思い浮かべるだけでも楽しそうじゃないですか。ボクには凱旋門賞を勝ちたい夢がある。ファンも凱旋門賞を前にそれぞれの夢を語り合ってください。夢はかなわないものは多いけど、たまに現実になるから楽しい。たまにかなう夢、が今回であってほしいですよ」

 ◇武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日生まれ、京都府出身の53歳。87年、騎手デビュー。69勝で当時の新人最多勝記録を樹立し、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞。以降、数々の記録を打ち立てた日本競馬界のレジェンド。2018年に前人未到のJRA通算4000勝を達成。今夏のワールドオールスタージョッキーズで30年ぶりに優勝。JRA通算2万3703戦4377勝、うち重賞349勝(G1・79勝)。1メートル70、51キロ。血液型O。

 ▽凱旋門賞 フランス・パリロンシャン競馬場(改修工事の際はシャンティイ)で毎年10月の第1日曜日に開催されるG1競走。欧州のみならず世界中のホースマンが憧れる世界最高峰に位置づけられるレース。日本馬は初挑戦の69年スピードシンボリ(着外)から延べ29頭が挑戦。99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタ、12&13年オルフェーヴルの2着が最高着順。

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