【スプリンターズS】丹内 36歳で覚醒!メイショウミモザで初G1制覇へ「本当に充実してる」

2022年9月30日 05:20

美浦トレセンの丹内(撮影・西川祐介)

 秋のG1開幕戦「第56回スプリンターズS」は29日、出走馬16頭が確定した。先週、中山で4勝を挙げ、9月だけで13勝。東西通じて月間トップの活躍ぶりを見せる丹内祐次(36)の勢いは止まらない。今年絶好調の36歳は良血馬メイショウミモザ(牝5=池添兼)をパートナーに電撃の6F戦に挑む。念願のG1制覇へ、気合が入る。同レースは30日に枠順が確定する。

 「丹内がキテるぞ」。そんな声がトレセンのあちこちから聞こえてくる。得意の北海道シリーズを終えても勢いは衰えない。むしろ加速した。先週日曜は中山で朝イチから3連勝。9月13勝は堂々たる全国トップだ。うち1番人気ではわずか2勝。人気薄で勝ちまくり、別表の通り、単勝回収値は325%と驚異的な数字だ。現時点で今年60勝。既にキャリアハイだった昨年の38勝を大きく超える。丹内は「充実していますね、本当に。今も2場開催なのに、たくさん乗らせてもらっていますから」と晴れやかだ。

 勢いの起点は北海道ではなく1月にあった。「年明けの小倉から良かった。春の福島でも初めて開催リーディング(7勝)を獲れた」。小倉、福島合わせて18勝。勝率11・9%は立派だ。丹内自身の生涯勝率の3倍近い。いったい丹内に何が起きているのか。「何かを変えてはいないが、競馬が終われば食べたいものを食べ、オンとオフをはっきりさせている。これがいいのかな」(丹内)。競馬にオフシーズンはないが気持ちのオフをつくることはできる。36歳を迎えないと、たどりつけなかった境地なのだろう。

 後輩からも刺激を受けている。9月11日の中山。ルーキー水沼元輝(20)がJRA初勝利を挙げた。水沼は競馬学校を留年。落ち込む若者にまめに声をかけ、支えたのが丹内だった。水沼は言う。「丹内さんと同じような温かい心を持った人になりたい」。ルーキーの動向を丹内も当然、気にかけている。「(勝って)良かったよね。目標の騎手にされているし、それに恥じないように頑張らないと」。いい背中を後輩に見せ続けたい。

 心身とも充実。その勢いをG1にぶつける。相棒は前走に続いてタッグを組むメイショウミモザ。母メイショウベルーガは重賞2勝。期待の良血だ。「前走(キーンランドC12着)は外に張られて何もできなかった。(1月の)小倉で勝った時(巌流島S)のイメージが凄くあるし、あの競馬を考えればチャンスはあると思う」と色気たっぷりだ。

 いつも以上に頑張る理由もある。「ずっと北海道で一緒だった(池添)兼雄先生も来年で定年。頑張らないと」。お世話になった師へ、最高の贈りものを。そして「あとは見えないパワーがあるかも…」と自身も驚く勢いに期待した。風は丹内に吹いている。

 ◇丹内 祐次(たんない・ゆうじ)1985年(昭60)11月5日生まれ、北海道函館市出身の36歳。函館競馬場の近くで生まれ育ち、騎手を志す。04年デビュー。同年4月10日福島2R(スピードタイガー)で初勝利。JRA通算9694戦416勝。重賞は今年のエルムS(フルデプスリーダー)など5勝。F1が大好きでレース観戦はもちろん、ゲームにもハマっている。1メートル65、47キロ。血液型O。

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