【スプリンターズS】“黄金世代”岩倉厩務員 トゥラヴェスーラと悲願重賞初Vへ
2022年9月30日 05:20 7歳の古豪トゥラヴェスーラは右前脚骨折、鼻出血など幾多の苦難を経験している。前走・高松宮記念は残り100メートル付近で鼻出血を発症、4着に敗れた。わずか0秒1差。岩倉厩務員は「最後でまさか…。出来が良かったし突き抜けていたかも…と思うとショックで落ち込んだ」と振り返る。
4歳春に右前脚骨折。長期休養を余儀なくされた。復帰後も調教中の鼻出血に悩まされ、予定のレースを見送ることも。うまく調整を進めることができず同世代と体の成長速度で後れを取った。ようやくトモの緩さが解消したのが昨年の高松宮記念の頃。「あの頃から体の上下がマッチした肉付きになった。全体の緩さが取れ、ギンギンの馬体。本格化したと思った」。その高松宮記念で4着に入ると京王杯SC、阪急杯と重賞で連続2着。重賞初Vは手の届く位置にある。
岩倉厩務員はキャリア22年。鹿戸明厩舎の解散に伴い、高橋康厩舎に移った。競馬学校(厩務員課程)の同期には美浦の高柳瑞師、凱旋門賞に参戦するダービー馬ドウデュースの担当スタッフ・前川助手、20年朝日杯FSを制したグレナディアガーズの安井助手、ダート重賞4勝サカラートを担当した杉山助手らがいる。
「腕利きばかりで凄いやろ。若い頃はみんなでよく集まった。彼らの活躍が刺激になっている。同期で重賞を勝っていないのは僕だけじゃないかな。勝ちたい気持ちは常にあるし、それがG1なら、よりうれしい」
伯母アストンマーチャンは07年スプリンターズS覇者。スプリント適性の高さには血の裏付けがある。「久々でもしっかり攻めは積んできた」。早くからスプリンターズSに照準を合わせ、ぶっつけ本番の究極仕上げ。頂上決戦に挑む。