【朝日杯FS】良血レイベリング 古馬OP馬を子ども扱い!史上最速デビュー23日目G1制覇へ

2022年12月15日 05:30

ウッドチップコースで追い切るレイベリング(撮影・郡司修)

 史上最短キャリアの王者が誕生する。2歳マイル王決定戦「第74回朝日杯フューチュリティS」(18日、阪神)の追い切りが14日、東西トレセンで行われ、英国産の良血レイベリングが美浦Wコースで桁違いの末脚を披露。本紙名物の「調教独断」(競馬面)では唯一の「S」評価を獲得した。新馬戦の勝利から23日目に迎える大一番。G1史上最短優勝記録(29日目)を塗り替える勢いだ。なお、同レースは15日に出走馬が確定、16日に枠順が決定する。

 才能は時として経験を凌駕(りょうが)する。噂の大物2歳馬レイベリングがベールを脱ぐように朝モヤのたちこめる4角から姿を現した。前肢を放り出すように伸ばす独特のストライド。3馬身先行したキングストンボーイ(4歳オープン)の内から一瞬で馬体を並べた。造作もなく半馬身先着。「凄いバネ。関節がとても柔らかいので肩を高く上げながら一気に加速した。中2週のレース間隔でもきっちり併せ馬ができるほど体力もある。キャリア1戦とはいえ、不安より楽しみのほうが大きい」。外ラチ沿いからその大物君の走りを見届けた鹿戸師は納得顔で口火を切った。

 同師の師匠、藤沢和雄元調教師が管理したソウルスターリング(16年阪神JF、17年オークス優勝)や一昨年の朝日杯FS優勝グレナディアガーズなどを出す英国の名種牡馬フランケルの産駒。初開催となった3月のドバイブリーズアップセール(2歳馬調教セリ)では2番目の高値(52万638ユーロ=約7000万円)がついた。才能の一端をのぞかせたのが11月26日の東京新馬戦。大外枠から外々を回りながら、スローペースを後方一気に3馬身半突き抜けた。上がり33秒1はこの日の最速。「スタート直後に外へ張り出されて後ろの位置になったが、道中リラックスして、最後は桁違いの脚。素晴らしい馬だ」と騎乗したフランスのギュイヨンも絶賛した。

 昨年の年度代表馬エフフォーリアも管理する鹿戸師は「こちらも性格は素直。前向き過ぎるぐらい一生懸命走る面もエフフォーリアと同じ」と言う。「初戦は馬の後ろで折り合う練習みたいな競馬だったからダメージも少ない。2歳の春からトレーニングセールに出場するため英国―ドバイ間を往復するなど輸送慣れしている」。新馬から中2週で阪神遠征に踏み切るのにためらいはなかった。

 歯替わり前の若馬。先週末には永久歯に突き上げられて不安定になった乳歯を削った。「そのおかげでハミ受けも安定して左右のバランスが良くなった。初の右回りコースにも対応できるはずだ」(同師)。レイベリングとは「逸脱」を意味する学術用語に由来。経験を凌駕するのはその名の通り、2歳馬の枠を逸脱した才能だ。

 《“29日目V”が2頭》レイベリングは11月26日の新馬戦を勝ち、朝日杯FS当日がデビュー23日目。Vならスティンガー、リオンディーズの29日目を破ってデビュー最速でのG1制覇となる。また1戦1勝馬は84年グレード制導入以降、朝日杯FSに19頭が挑戦し、優勝は15年リオンディーズ1頭のみ。高いハードルをクリアして新記録達成なるか。

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