【有馬記念】まるでメッシ 福永も有終Vゴ~ル 8大競走完全制覇で来年2月引退へ
2022年12月20日 05:30 クリスマス決戦「第67回有馬記念」まで、あと5日。見どころ満載のグランプリで例年以上に注目されるのが福永祐一(46)だ。8日に合格発表があった難関の調教師試験を突破。来年2月末の引退、調教師転身が決まった。今年は菊花賞2着ボルドグフーシュと初コンビを結成し、8大競走コンプリートの大記録にチャレンジする。14度目騎乗のラスト有馬で決めれば劇的。奇跡は起こすためにある。
福永が「8大競走完全制覇」に王手をかけたのは、ワールドプレミアで勝った昨年の天皇賞・春。残すは暮れのグランプリ有馬記念のみとなった。
過去に完全制覇を達成した騎手は昭和の名ジョッキー・保田隆芳に武豊、ルメールの3人だけ。いかに至難な記録であるかが分かる。それでも福永なら「いずれ」「そのうち」と思われた。そこへ、騎手引退、調教師転身のニュース。今年がラストチャンスになる。過去13回、有馬記念に挑戦したが、11年トゥザグローリー3着が最高着順。それでも有馬への思いは強い。
「有馬記念は絶対に乗りたいレース。めちゃくちゃ盛り上がるからね。パドックでも馬場に入ってからも歓声が凄い。最近はおとなしく感じるけど昔は凄かった。有馬は乗っていないと寂しい。今年のジャパンCも裏(開催)で乗っていて寂しかった。特に有馬記念は乗っていないと寂しい気持ちになる」
首位に肉薄したのは11年。オルフェーヴルを追い詰めたが、おしなべて騎乗馬は人気薄ばかりだった。
「そんなに人気馬にも乗ってないから、あまりいい成績じゃない。惜しかったのはトゥザグローリーぐらいかな。どスローだったけど最後は凄い脚で(勝ったオルフェーヴルからコンマ1秒差に)迫った。ジャスタウェイ(14年4着)は脚元のことがあったからケガをしなくて良かった。大体、人気よりは前に来ていると思う」
今年は当初、騎乗馬がなく見送りになる可能性もあったが、吉田隼がポタジェに騎乗するため、ボルドグフーシュ陣営から騎乗を依頼された。夢がつながった。
「ジャパンCと有馬記念は乗るのが難しい。継続してコンビを組んでいる馬じゃないと、なかなか乗れないから。今年はテン乗り(初騎乗)になるけど声をかけてもらって、うれしかった。最後の有馬記念で乗り馬がいないと寂しいから」
決戦ウイークを控え、1週前追い切りが抜群だった。CWコース併せ馬で福永が気合を注入すると1200メートルを78秒2の好時計で駆け抜け、ラスト200メートルは11秒1と超抜の伸び。栗東トレセンの調教スタンドがざわついた。
「中山の2500メートルは器用さが求められる。先行力が必要で、たまに後方一気もある。1番人気で臨むのは嫌なコース(笑い)。コースの向き、不向きもあって外枠を引いたら圧倒的に不利。枠でノーチャンスになる馬もいる。ボルドグフーシュは菊花賞で2着に来たように力はあるし、長くいい脚を使えるイメージ。それが生きる流れになれば」
馬名の由来はハンガリー語で「幸せな英雄」。福永にお似合いな名前の相棒とラスト有馬でド派手な差し切りなら、グランプリの歴史に残る劇的なドラマになる。
◇福永 祐一(ふくなが・ゆういち)1976年(昭51)12月9日生まれ、滋賀県出身の46歳。96年に栗東・北橋修二厩舎所属でデビュー。ルーキーイヤーに53勝を挙げ、最多勝利新人騎手に輝く。99年桜花賞(プリモディーネ)でG1初制覇。11年最高勝率騎手、13年最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手などのタイトルを獲得。18年にワグネリアンに騎乗し、19度目のチャレンジでダービー初制覇を成し遂げ、20年コントレイル、21年シャフリヤールと合わせて日本ダービー3勝。JRA通算1万9380戦2617勝(19日現在)、うち重賞160勝(G134勝)。1メートル60、52キロ。血液型B。