【有馬記念】イクイノックス“圧冠” 史上最少6戦目 ルメールは全てクリスマ当日3勝目
2022年12月26日 05:25 中央競馬のグランプリ「第67回有馬記念」が25日、中山競馬場で行われた。天皇賞・秋Vから挑んだ3歳馬イクイノックスが圧倒的なパワーで外から2馬身半ねじ伏せ優勝。史上最少の6戦目有馬V。クリストフ・ルメール(43)は有馬記念3勝目で全てクリスマス当日の制覇となった。父キタサンブラックも17年に有馬を制しており、5組目の父子制覇。2着には来年2月で騎手を引退する福永祐一(46)騎乗のボルドグフーシュが入り、28年ぶりの3歳馬ワンツーとなった。歴代最多票でファン投票1位、2番人気のタイトルホルダーは9着に敗れた。
ルメールサンタが黒く輝くイクイノックスに乗ってやってきた。「みなさんメリークリスマス!ブラボー!ブラボー!ブラボー!」。またもやクリスマスに大仕事。05年ハーツクライ、16年サトノダイヤモンドに続く12月25日のグランプリVだ。1番人気の圧倒的な勝利。これが見たかった。4万大観衆が沸く。歓声に向けて何度も手を上げ「2度あることは3度ありますね!」とサンタは笑った。
勝利のお届けは迫力に満ちていた。タイトルホルダーが逃げ、前半1000メートルは1分1秒2。ペースは緩い。行きたがった。「中団の位置を取れたがスローペースで2角でハミを取った。皐月賞(2着)でも引っかかって最後に疲れてしまった馬。ゴールまで持つか少し心配した」。だが、春とは違った。9番手の外で何とか我慢し、迎えた3角過ぎ。残り600メートル地点から動いた。外をまるで瞬間移動。4角ではもう3番手にいた。
そこからは独壇場だ。突き放す、突き放す。長くいい脚を使っているであろうボルドグフーシュが置き去りだ。2馬身半差、完勝。天皇賞・秋とはまた違う勝ちっぷり。これが日本一の脚だ。「直線を向いた時には息が入り、もう一度伸びてくれた。強い脚を使って楽勝だった。スーパーホースです」。ルメールの笑顔がはじけた。
“天才”。木村師は管理馬をそう評価してきた。「簡単ではないけど簡単に勝ってしまう。苦労したような話もしたが、それは何だったんだろうと思ってしまう。今までこのような馬は管理したことがない」。春は大外枠に泣かされ、皐月賞、ダービーともに2着。弱さも抱えていた。秋になって才能は完全に開花。パドックの雰囲気は飛び抜けていた。黒光りする馬体。柔らかそうな筋肉。軽快に動く四肢。ルメールも「秋から大人になって凄く強くなった。ウイークポイントはありません。ストライドはいいしメンタルも強い。キタサンブラックの子だし、まだ強くなれる。来年ももちろん楽しみ」。最大の評価を与えた。
もはや夢は国内で収まらない。師は「あくまで個人的な意見」とした上で来年以降について語った。「2月にサウジアラビアに行かせてもらった時、海外のメディアに“イクイノックスとジオグリフは今年どういう予定なんだ”と聞かれた。ワールドスタンダードの馬にして、何とか世界に立ち向かって行きたいと思っていた。海外に行って、世界のホースマンに見ていただく価値のある馬です」。日本は完全に統一。年度代表馬も決定的だろう。23年は世界一を目指す天才の旅路が始まりそうだ。
▼北島三郎(イクイノックスの父キタサンブラックを現役時に所有)イクイノックスおめでとう。陣営の皆さんおめでとう。ルメール君ありがとう。ファンの皆さんありがとう。強豪を相手に初めての有馬記念での勝利。そして父子制覇は凄いこと。何よりも、まだ3歳なのに桁違いの強さに驚がくしました。現地には行けなかったけどテレビの前で応援して、うれしくて「まつり」を歌っちゃったよ(笑い)。最高のクリスマスになりました。
イクイノックス 父キタサンブラック 母シャトーブランシュ(母の父キングヘイロー)19年3月23日生まれ 牡3歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦4勝(重賞3勝目) 総獲得賞金8億660万2000円 馬名の由来は昼と夜の長さがほぼ等しくなる時。
◆記録アラカルト
【騎手】ルメールのJRA・G1勝利は天皇賞・秋に続く今年3勝目、通算43勝目。有馬記念は16年サトノダイヤモンド以来、3度目。
【調教師】木村師のJRA・G1勝利は天皇賞・秋に続く今年3勝目、通算4勝目。有馬記念は初勝利。
【種牡馬】キタサンブラック産駒のJRA・G1勝利は天皇賞・秋に続く通算2勝目。
【東西比較】関東馬は21年エフフォーリアに続く勝利。通算成績は関東馬37勝、関西馬30勝。
【3歳馬】21年エフフォーリアに続く勝利で通算21勝目。同年の天皇賞・秋、有馬記念を制した馬は02年シンボリクリスエス、昨年エフフォーリアに続く3頭目。3歳馬ワンツーは76年1着トウショウボーイ→2着テンポイント、83年リードホーユー→テュデナムキング、94年ナリタブライアン→ヒシアマゾン以来、28年ぶり4度目。
【1番人気】20年クロノジェネシスから3年連続の勝利で通算26勝目。
【最少キャリア】キャリア6戦目での勝利は最少キャリア記録。7戦目Vは98年グラスワンダー、18年ブラストワンピース、21年エフフォーリア。
【父子制覇】父キタサンブラックは17年の優勝馬で当レース5組目。
【ファン投票3位】89年イナリワン、96年サクラローレル以来、26年ぶり3勝目。
【クリスマスGP】12月25日に行われたのは今年で8回目となったが3歳馬の勝利はこれで6回目。ルメールは当レース3勝を全てクリスマス当日に挙げた。
【好枠】5枠は20年クロノジェネシス→21年エフフォーリアに続いて3年連続の勝利で通算13勝目となり、枠番別最多の勝利数。