【記者が選ぶ福永祐一ベストレース(1)】G1初制覇の喜び 真っ先に挙げた師匠の名前
2023年2月21日 05:22 JRA歴代4位の2636勝を挙げ、3月から調教師に転身する福永祐一(46)は今週末、サウジアラビアで現役ラスト騎乗を迎える。数々の名馬とのコンビで競馬史にその名を刻んだ名手の「ベストレース」を、歴代栗東担当がエピソードを交えて紹介する。全5回連載の第1回はG1初制覇となったプリモディーネの99年桜花賞。
「洋一の息子が競馬学校に入るらしい」。そう聞いた時の落ち着かない気持ちを今でも思い出す。先輩船曳記者からジョッキー・福永洋一の天才を嫌というほど聞いていたからだ。デビューした祐一は明るい笑顔を見せながら、どこか重たいものを抱えている雰囲気があった。天才と呼ばれながら事故で早期引退を強いられた父を持つ二世騎手の宿命を感じた。
福永が恵まれたのは北橋厩舎所属だったこと。「あの下手くそが」「どもならん。下手やから下手や」の苦言は過熱するマスコミへの防御線となった。
G1初制覇は99年の桜花賞。スティンガー、フサイチエアデールなど強豪がそろい4番人気。後方でためを利かせて末脚勝負。父譲りの度胸を見せた。レース後、「喜びを伝えたいのは?」と問われ、真っ先に師匠の名を挙げた。 (オサム)