武豊 逆境での流儀「一発逆転じゃなくて、地道に少しずつ…」
2023年4月27日 17:59 JRA騎手の武豊が27日、都内で「Climbers2023」に出演した。
様々な壁や難局を乗り越えてきた各界のトップランナーによる、人生の特別講義というイベント。武豊にとっての厳しい時期は、落馬負傷のあった10年からの数年間だった。
「すぐ治るだろうなと軽く考えていたら、なかなか治らなくて。復帰しても前のような結果が出せなくて、大丈夫かなと心配になった。思うようにいかない時期が続いたのが初めてだった。結構きつかった」と当時を振り返る。
逆境で見つめ直したのは足元だった。「いっぺんに状況を変えるのは難しいだろうなと思っていた。できることからしっかりと。新人の頃のような感じで、もう一度地味なことからやるしかないのかな。少しずつ状況変えていくしかないのかな」。そうした中で出合ったのがキズナだった。
コンビでの重賞初制覇は13年の毎日杯。武豊にとっては、落馬負傷した因縁のレースだった。「勝ってネガティブなところを消したいなという気持ちはあった」。そして、日本ダービーも優勝。「キズナで勝てたのは本当に大きかった」との言葉に実感を込めた。
キズナのダービーから、早くも10年が経とうとしている。今年、武豊の通算勝利数は4400を超え、史上最年長G1制覇も成し遂げた。
イベントの最後に「乗り越えるメッセージ」を求められたスーパージョッキーは、「一発逆転じゃなくて、地道に少しずつ状況変えていくことかなと思っている」とし、「僕は壁にぶつかって、いろいろ悩んで考えたりは悪くないと思う。自分があらためて新しく考えたりとかできるチャンス。まだまだ僕自身も頑張っていけたらいい」と結んだ。