【安田記念】ソングライン “中2週”のタフネス連覇 雨上がりの府中で自己ベスト「1分31秒4」

2023年6月5日 05:29

<安田記念>力強い走りで連覇を決めたソングライン(右)。鞍上の戸崎はガッツポーズ(撮影・郡司 修) 

 春の東京GI5連戦を締めくくる最強マイラー決定戦「第73回安田記念」が4日、東京競馬場で行われた。20年に並ぶレース史上最多タイのG1馬10頭が集結した一戦で、戸崎圭太(42)騎乗の4番人気ソングラインがヤマニンゼファー、ウオッカ以来となるG1昇格以降3頭目の安田記念連覇を達成。米G1ブリーダーズカップマイル(11月4日、サンタアニタパーク)の優先出走権を獲得した。

 17頭の重賞ホース、9頭のG1馬を引き連れ、ソングラインが真っ先にゴール板に飛び込んだ直後、ステッキを握りしめた戸崎の右手が挙がった。連覇も、ヴィクトリアマイル→安田記念連勝もあの名牝ウオッカ以来。文句なし。昨年は首差、前走は頭差の首位だったが、今度は1馬身1/4。最強マイラーの圧巻の走りに、6万4638人の大観衆から喝采が自然発生した。

 まさに独壇場。キャリア15戦目にして7度目の東京マイル。「乗り方は任せると言ってもらった。最後は必ずいい脚を使ってくれるので自信があった」と、戸崎は泰然自若のエスコート。試練の大外枠も、好発を決めれば誰にも邪魔されない好枠に変貌した。道中は中団後方。前半5F57秒6は昨年より1秒1速いハイラップだが、抜群の手応えで追走した。「スタートだけはしっかり決めたかった。二の脚も良く、いい位置にはまった」。先行勢の脚が鈍ると一気にのみ込む。昨年の最優秀短距離馬セリフォスが内から抵抗するが相手にしなかった。

 アーモンドアイも、グランアレグリアも辛酸をなめた“中2週”ローテ。戸崎が「無駄がない。余計なことをせず競馬に臨み、力を発揮してくれる」と評するスーパーアスリートにとっては、このヴィクトリアマイルからの過密日程でさえ成長期。鞍上が「状態は前走以上。一段階、二段階上がっていた」と言えば、林師も「前走より心身ともに成長してたくましく感じました。可愛らしいだけじゃなくて素晴らしいアスリートなんだと再確認しました」と口をそろえた。

 秋はBCマイルが目標。昨年は喉頭蓋(こうとうがい)が腫れ、気道が狭くなったことから米遠征計画が実現しなかったが、2年越しの挑戦が始まる。指揮官は「海外遠征自体は、昨年のサウジアラビア(1351ターフスプリント)で結果を出していますから、適性はあると思っています。米国競馬は管理馬を走らせたことがありませんので、関係各所にアドバイスをいただいて取り組みたい」と力を込める。雨上がりの府中でマークした自己ベスト「1分31秒4」。絶対的スピード能力の証明を終えた日本の最強マイラーが、再び海を渡る。

 ≪サンデーレーシング 単独最多3勝目≫馬主のサンデーレーシングは同レース単独最多となる通算3勝目。吉田俊介代表は「このメンバーで強い勝ち方でした。馬体も牡馬のようにたくましくなったし、強くなりました」とにっこり。今後については「今秋はBCマイルを目標にしたい。間隔が4カ月空くので一度使ってから本番という形になると思います。国内で使ってから行くかどうかは、これから考えます」と伝えた。

 ≪ノーザンF6勝目≫生産牧場のノーザンファームは通算6勝目。津田朋紀場長は「ヴィクトリアマイル後は在厩調整で追い込んだ仕上げをしてもらえました。一番の仕上がりだったと思いますし、馬もよく応えてくれました」と喜んだ。「キズナ産駒はタフですね。馬体重は減っていましたが、パドックでは非常に気配良く映りました。これなら自信を持って海外に送れますね」とコメント。ソングラインは今後ノーザンファーム天栄へ放牧に出る。

特集

2023年6月5日のニュース