87年神戸新聞杯完勝!牡馬も圧倒したマックスビューティ

2023年9月22日 05:00

マックスビューティ

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、阪神競馬場では神戸新聞杯が行われる。1987年、牡馬相手にこのレースを快勝したのが牝馬のマックスビューティ(栗東・伊藤雄二厩舎)だ。

 マックスビューティはこの年の春、桜花賞とオークスを優勝し、牝馬2冠を達成。当時は秋華賞が創設される前で、エリザベス女王杯が3歳牝馬の限定戦。いわゆる3冠目のレースだった。当然、彼女も牝馬3冠を目指し、エリザベス女王杯に挑む予定だった。そして、その前哨戦としてローズSを使うのだが、その前に菊花賞の前哨戦でもある神戸新聞杯にも出走。見事にこれを制したのだ。

 当時は牡馬相手に重賞を勝つ牝馬は現在ほど多くなかった。いてもマイル以下の路線がほとんどで、2000メートル以上で結果を残す牝馬は少なかった。そんな状況下で牡馬を完封。先述した通り春には桜と樫の女王に上り詰めていたが、それぞれの前哨戦も勝利していたので、この神戸新聞杯は実にこの年7戦目で、かつ7勝目だった。ぶっつけのG1出走も珍しくなくなった現在とは明らかに異なる使い方だが、同馬を管理していた故・伊藤雄二元調教師は、生前、次のように語られていた。

 「のちにエアグルーヴやファインモーションなど、走る牝馬を何頭も面倒見させていただきましたが、彼女たちと比べても負けていないタフさを、マックスビューティは持っていました。もちろん、私にとっても思い入れの深い一頭であることは間違いありません」

 先に記した通り、この後、ローズSも走るとこれも勝利。連勝を8まで伸ばしたマックスビューティは、続くエリザベス女王杯で単勝1・2倍の圧倒的1番人気の支持を受けた。しかし、結果はタレンティドガールに2馬身離されての2着。

 「競馬は何が起こるか分からないというのを改めて思い知らされました」

 伊藤雄二元調教師に話を伺ったのは、レース後20年以上してからだったが、しみじみとした表情でそう語ったのが、印象に残った。 (フリーライター)

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