世界中を驚かせたステイゴールドの系譜継ぐ スルーセブンシーズ 夢かなえても不思議じゃない

2023年9月26日 05:13

凱旋門賞に挑むスルーセブンシーズ

 【スルーセブンシーズ 7つの海を越えて(1)】凱旋門賞制覇は日本競馬の夢――。夢の旅路は長らく続き、今年その実現を担うのはスルーセブンシーズ(牝5=尾関)。幾多の海を越えて極東からフランスに渡る日本の牝馬は、夢をかなえられるか。連載「7つの海を越えて」1回目は父の父ステイゴールドから受け継ぐ「凱旋門賞適性」。現役時のステイを管理した本紙評論家・池江泰郎氏(82)に話を聞いた。

 凱旋門賞で日本馬の最先着は2着。エルコンドルパサー(99年)は米国産のキングマンボ産駒だが、日本産のナカヤマフェスタ(10年)とオルフェーヴル(12、13年)は、いずれもステイゴールド産駒だ。

 今年、凱旋門賞に挑むスルーセブンシーズはドリームジャーニー産駒。その父がステイゴールドで、同馬を管理した池江泰郎氏、息子で調教に携わった池江泰寿師の父子が知り尽くしている。ここでは“隠れ凱旋門賞血統”ステイゴールドを改めて掘り下げる。スポニチ本紙評論家でもある池江泰郎氏に、テーマごとに回顧してもらった。

 現役時代 「ヤンチャでひと癖どころか、何癖もあった。自分勝手なことをするのが好きだったかな」と池江氏。競馬に集中させるのに手を焼いたという。デビュー3戦目では4角で外ラチに逸走、競走中止。初勝利まで6戦を要した。お世辞にも3歳時は大きく注目される存在ではなかったのだ。

 ドラマ性 ところが4歳で天皇賞・春を皮切りに、宝塚記念、天皇賞・秋と2着。キャリアを重ねていくうちに善戦マンの“愛されキャラ”へと変貌。ただG1を勝てないまま7歳を迎えた。「ハイライトは現役最後の年になって海外に挑んだドバイ(シーマクラシック、当時G2)と香港(ヴァーズ、G1)の2発。届きそうもないところから差し切った。それもラストランで悲願のG1勝利だからね」と劇的な大団円を振り返った。

 産駒の特徴 ステイゴールドは種牡馬となりドリームジャーニーとオルフェーヴルの兄弟、ゴールドシップ、フェノーメノ、インディチャンプら名だたるG1馬を輩出。さらに障害の絶対王者オジュウチョウサンも。実に個性派が多い。

 「ステイゴールドは物おじしない、環境の変化に強い。外国に遠征してもへっちゃら。そういう特徴は引き継がれているんじゃないかな。ドリームジャーニーの現役時代なんて泰寿と“ステイゴールドにそっくりだ”と話したもんだ」

 この血統、アッと驚かせることが特徴とも言えようか。いいとき悪いときの振幅が激しく、クライマックスが天井知らず。舞台は世界中のホースマンが注目する凱旋門賞。海外遠征で世界中を驚かせたステイゴールドの、種牡馬としての最初の傑作がドリームジャーニー。父方からその系譜を受け継ぐスルーセブンシーズなら、大仕事をやってのけて不思議はない。

 ≪やや強め稽古でスムーズな動き≫スルーセブンシーズは24日、エーグル調教場の芝コースでやや強めの調教を行った。所有するキャロットファームの公式サイトによると、ラスト3Fはハロン13秒3のフラットなペースでスムーズな動きを披露。コンビ3戦3勝のルメールとのコンビで日本馬の悲願成就に挑む。

 

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