【スプリンターズS】中舘師手応えたっぷりオールアットワンス

2023年9月28日 05:28

併せで追い切るオールアットワンス(左)(撮影・村上大輔)

 【G1ドキュメント・美浦=27日】07年スプリンターズS優勝アストンマーチャンのファンだった田井。今年の出走馬で最も気になるのは、当然オールアットワンス。マーチャンの鞍上だった中舘師が送り出す快速馬。

 当時の中舘師は「大舞台とは無縁の世界で生きていた」ベテランジョッキー。ローカルを主戦場に、G1裏開催などで“勝たなければならない”馬の騎乗を担当していた。しかし、マーチャンの鞍上が空位となり、“逃げの中舘”に白羽の矢が立つ。石坂正師から「おまえを乗せるんだからな」と背中を押された中舘師は、不良馬場としては驚異的な前半3F33秒1のハイラップを刻ませ、圧逃劇を演出。「自分ももう少しやれるんだ、と思ってしまった(笑い)。彼女との出合いがなければもっと早く調教師に転身していたかも」とヒシアマゾン(94年エリザベス女王杯)以来13年ぶりのG1勝利を振り返る。

 調教師として初のスプリンターズS参戦は自身3度目のG1挑戦。「今までで一番いい出来で送り出せる」と期待を隠さない。最終追いはWコース5F66秒7~1F11秒6。稽古駆けするインペリアルライン(4歳1勝クラス)を2馬身追走し楽々と併入。1年ぶり復帰戦の前走で18キロ増量した馬体はさらにたくましさを増した。「以前はバランスが悪かったり、馬混みを嫌がったりしたが、走る馬は弱点を一つずつ克服していく。今ならコーナリングも大丈夫」。千直専用機ではない。「あとは石川が悔いのないように乗ればいい。騎手時代に指示通りに乗って後悔したことがあったから。僕は何も言いません」とJRA通算1823勝の名手らしい言葉で人馬の背中を押した。

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