豪州と京都2つの大勝負制した清水久師

2023年10月20日 05:00

19年コーフィールドCを優勝したメールドグラースと清水久調教師(左)(平松さとし撮影)

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、京都競馬場では菊花賞(G1)が、海の向こう、オーストラリアのコーフィールド競馬場ではコーフィールドC(G1)が行われる。

 この2つのレースを制しているのが栗東の清水久詞調教師だ。

 まずは15年。セントライト記念(G2)を制したキタサンブラックと共に菊花賞へ挑んだ。

 「強い勝ち方をしてくれたし、私は距離もこなせると考えていたのですが、血統的なせいか、意外と支持されませんでした」

 清水久師がそう述懐するように、母の父が名スプリンターのサクラバクシンオーだったせいか、キタサンブラックは5番人気。しかし、北村宏司騎手に上手に導かれ、真っ先にゴールイン。後に春秋の天皇賞や有馬記念など、計7つのG1を勝つ同馬にとって、初めてとなる大仕事をやってのけた。

 それから4年後の19年。今度は赤道を越えて清水久厩舎の馬が躍動した。

 オーストラリアでコーフィールドCに挑戦したのはメールドグラース。この年が明けた時にはよくいる2勝馬に過ぎなかったが、連勝してオープン入りすると、その後、新潟大賞典、鳴尾記念、小倉記念とG3を3連勝。合計の連勝を5に伸ばし、次なる標的を海の向こうに求めた。

 「連勝中といってもG3ですから、ここでどこまで通用するのか。正直、胸を借りるつもりですが、状態は良いですよ」

 レース前には控えめにそう語っていた。そしてゲートが開き、後方からの競馬になった時には「ハラハラしたし、厳しいかな?とも思った」そうだ。

 ところが最後の直線、清水久師に見守られたメールドグラースはやや内へ切れ込みながら(騎乗したレーン騎手は騎乗停止処分)も他馬とは一線を画す勢いで突き抜けた。同馬にとって初のG1勝ちを、海外で決めてみせたのだ。

 今年はそのコーフィールドCにブレークアップ(牡5=吉岡)が挑む。また、菊花賞ではキタサンブラック産駒の皐月賞馬ソールオリエンスが人気の一角になりそうだ。それぞれ、どんなドラマが待っているだろう。 (フリーライター)

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