約1年ぶりに美浦を訪れたトム・マーカンド（25）、ホリー・ドイル（27）の夫妻。初来日だった昨年は右も左も分からなかったが、今年は表情から余裕が伝わる。マーカンドは「とても1年がたったとは思えない。また日本に戻って来られてうれしいです」と喜びを語った。

　世界の第一線で活躍を続け、先日のBCジュベナイルターフスプリント（ビッグイーヴス）も優勝したマーカンド。昨年の短期免許期間中はJRA初騎乗にもかかわらず16勝をマーク。連対率は21・7％を誇り、高い騎乗技術で関係者をうならせた。マーカンドは「日本と他国の競馬では大きな違いがあった。そして東京、中山でも違いがある。馬とコースに合わせた騎乗が必要になると考えています」と、日本競馬攻略のヒントはすでにつかんでいる様子だ。

　昨年の騎乗で評価を上げ、今年は1週目のG1・エリザベス女王杯からサリエラのオファーが舞い込んだ。相棒の走りはVTRで確認済みで、マーカンドは「非常にレベルの高い馬。チャンピオンホース（ジェラルディーナ）は強敵で難しいレースにはなるが、まだまだ伸びしろがあると思う」と期待十分だった。

　2人とも12月29日まで日本で騎乗する予定。妻のドイルも「今年も夫婦で日本に呼んでいただき、大変感謝している。昨年の経験があるのでいいスタートを切れるイメージがある」と腕をぶす。もう日本競馬を勝つイメージはできている。英国の騎手夫婦が勝ち星量産の構えだ。

　◇ホリー・ドイル　1996年10月11日生まれ、英国出身の27歳。14年デビューで、21、22、23年は英国リーディング5、2、5位。昨年のフランスオークス（ナシュワ）で女性騎手初の欧州クラシック制覇。JRA通算は107戦2勝。マーカンドとの結婚は競馬専門紙だけでなくミラー紙やサン紙でも取り上げられた。

　◇トム・マーカンド　1998年3月30日生まれ、英国出身の25歳。14年デビューで、21、22、23年は英国リーディングで3、3、4位。JRA通算は138戦16勝。ハガス厩舎の主戦で、主な騎乗馬に同厩舎のアデイブ（G1・4勝）。

　《牝馬限定G1国枝師全制覇へ》サリエラを管理する国枝師は、阪神JF、桜花賞、オークス、ヴィクトリアMを2勝ずつ。秋華賞を3勝と牝馬限定G1での活躍は特筆もの。アパパネ、アーモンドアイ、アカイトリノムスメ、サークルオブライフを擁してのものだ。唯一、勝っていない牝馬限定G1がエリザベス女王杯で、このレースを勝てば史上初のJRA牝馬限定G1・6レース完全制覇となる。ここまでの11勝のうち4勝をルメール、1勝をM・デムーロと外国人騎手で勝っている。