【追憶の京成杯】02年ヤマニンセラフィム&ローマンエンパイアが同着!単勝配当の“不思議”

2024年1月10日 06:45

<京成杯>ゴール前で捕えられ、一着同着となったヤマニンセラフィム(右)とローマンエンパイア(2002年)

 重賞での1着同着といえば、皆さんはどのレースを思い浮かべるだろうか。近いところでは22年のドバイターフ。日本調教馬パンサラッサと英国のロードノースが鼻面を並べて入り、お立ち台で吉田豊騎手とデットーリがカップを一緒に掲げたシーンは印象的だった。

 G1でいえば10年オークス。サンテミリオンとアパパネ。蛯名正義(現調教師)、横山典弘の関東の名手2人が栄冠を分け合った。

 京成杯にも1着同着の年があった。東京競馬場が舞台だった02年。2戦2勝、前走・さざんか賞で2着馬を5馬身突き放していたローマンエンパイアが単勝1・9倍の1番人気。

 同じく2戦2勝で東上したヤマニンセラフィムが2・9倍の2番人気。5倍を切るのは、この関西馬2頭だけだった。ローマンの鞍上は武幸四郎(現調教師)、ヤマニンは蛯名だった。

 レースは13頭立て。サンデーサンサンが逃げて、平均的なペースを刻む展開。ヤマニンは5番手、ローマンは10番手付近を進んだ。

 勝負どころで2頭は対照的な動きを見せた。3、4角中間付近で動き出し、外へと進路を取ったローマン。一方、ヤマニンはインで我慢。直線を向き、前も空いた。

 絶好の手応え、もう残り400メートルで先頭に立つヤマニン。ローマンも大外から長く脚を使った。インから牝馬ブリガドーンも来たが、やはり最後は人気2頭の勝負。ローマンの接近を受け、ヤマニンがもうひと踏ん張りしたが、最後にローマンもまた伸びた。

 「2頭全く並んでゴールイン!」の実況がお見事。確かに2頭は全く並んでいた。約10分の写真判定の末、着順掲示板に上がった文字は「同」。場内がどよめいた。

 ローマンエンパイアの武幸騎手は敗戦を覚悟して2着の枠場で馬を下りたが「日頃の行いが良かったのかな」と満面笑み。ヤマニンセラフィムの蛯名騎手は「まあ、負けなくて良かったよ」と胸をなで下ろした。

 口取りは2度行い、馬の首に掛ける優勝レイも仲良く使い回した。その頃、払戻金を見たファンがざわついた。ヤマニンの単勝は120円、ローマンの単勝は110円。しかし、複勝はヤマニン、ローマンとも130円ついた。

 「複勝の方がついたじゃないかー」という声が府中の空に響いたかどうかは定かではない。

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