馬ファーストで順調な手応えつかむ福永師
2024年4月4日 10:10 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の寺下厚司(40)が担当する。3月の開業から約1カ月がたった福永祐一師(47)に迫った。
多くのファンが注目する中、開業した福永厩舎は開業して約1カ月がたった。ここまで未勝利ながら【0・3・2・3】の成績。7番人気以下が3頭も馬券に絡み、複勝回収率は216%の黒字収支をマークしている。
3月は出走頭数が少なかったが、あくまで馬ファーストを貫く。「(開業前から)前の厩舎で自分が調教に乗っていた馬は1、2週目から使ったけど、最初はうちのやり方に慣らせないといけないね」。馬にとっては新しい環境で今までとは異なる調教メニュー。「2週前までにしっかり攻めて、だいたいへたってくる。おそらく1回はへたると思って出走の予定は決めずに間を空けていた。そこを乗り越えてくれたら、あとはコンディショニングという感じにしている」と明かす。
来週のアーリントンC(4月13日、阪神)はチャンネルトンネル(牡3)で早くも重賞に初挑戦。この日、行われた1週前追い切りは坂路で4F52秒4をマークした。「うちの厩舎は基本的に馬場の悪い時間帯でしかやっていないが、いい動きをしている。今までのレースを見ていたら乗り難しいのかと思ったが、めちゃくちゃ乗りやすい。走りそうやで」と期待を寄せる。
管理するG1馬ダノンスコーピオン(牡5)も来月の京王杯SC(5月11日、東京)を目指して調整中。22年NHKマイルCを制した後は勝ち切れていないが、復活に向けてじっくり乗り込まれている。「ここまでいい段階を踏めているよ。筋肉の質がいいし、バネはオレが乗ってきた中でもトップ3に入るぐらい」と、その乗り味を絶賛した。
開業して1カ月がたち、指揮官は手応えをつかんでいる。「普通、競馬を使っている古馬はなかなか変えづらいが、思ったより変わってきた」。今週はこれまでで最多の7頭を出走させる予定。特に日曜阪神の7Rケイデンシーマーク、10RエーデルブルーメはVチャンスがありそうだ。「ここからやで」。そろそろ、ウイナーズサークルで口取り写真に納まる福永師を見られそうだ。
◇寺下 厚司(てらした・あつし)1983年(昭58)10月22日生まれ、京都市出身の40歳。阪大工学部卒、東大大学院中退。09年秋から競馬担当(東京↓大阪)。福永師が騎手時代、コントレイルで無敗のクラシック3冠を達成した20年菊花賞は現地で取材した。