日本勢のロイヤルアスコット開催克服のカギは…16年エイシンヒカリ1番人気も最下位

2024年6月14日 05:29

16年、ロイヤルアスコット開催プリンスオブウェールズSに出走したエイシンヒカリと武豊(撮影・平松さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】今年もロイヤルアスコット開催が迫ってきた。英国王室主催で5日間連続となるこの開催はアスコット競馬場が舞台になる。同競馬場はアップダウンが激しく、芝丈も長いことで知られる。いわば日本とは180度方向性が異なる形状で、海を越えて挑んだ多くの日本馬に立ちはだかってきた。

 例えば16年に同開催のメインといえるプリンスオブウェールズS(G1)に挑んだエイシンヒカリ。日本馬得意の2000メートル戦であり、特に同馬は欧州初戦の仏G1イスパーン賞(この年は1800メートルで施行)を10馬身差で勝ったため、期待がかけられた。事実、現地でも1番人気の支持を得た。結果は残念ながら最下位6着に沈んだ。もっともこの敗因を「日本馬に合わない馬場」と結論付けるのは安直だ。毎年同開催の開幕を告げるのはクイーンアンS(G1、1600メートル)なのだが、この年の覇者は米国馬テピンだった。

 また、1000メートルで行われるキングズスタンドS(G1)に目を移せば、一昨年はオーストラリアのネイチャーストリップが勝利。オーストラリア勢は他にもテイクオーバーターゲット(06年)やショワジール(03年)が勝っているほか、香港のリトルブリッジも優勝(12年)している。また、勝てなかったものの00年には日本のアグネスワールド(栗東・森秀行厩舎)が2着に好走した例もある。

 凱旋門賞(G1)の行われるパリロンシャン競馬場にも共通していることだが、マイル以下の距離なら十分に非欧州勢でも好走している。つまり、欧州での敗因は単に馬場だけが敗因とは思えないのだ。ちなみにロイヤルアスコット開催では北米を拠点とするW・A・ウォード調教師が20勝以上を挙げている。もちろん全て短、中距離での成績だ。

 単に馬場に敗因を求めるのではなく、このあたりに欧州克服の鍵があると思うのだが、今年のロイヤルアスコット開催でもそんな傾向が見られるだろうか。18日の開幕が楽しみだ。(フリーライター)

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