【菊花賞】ダノンデサイル 王者の風格 51年ぶりダービーとの2冠へ不安なし!!

2024年10月17日 05:30

安田師を背に、軽快に坂路を駆け上がるダノンデサイル

 進化を遂げたダービー馬が淀の3000メートルにぶっつけ参戦だ。クラシック最終戦「第85回菊花賞」(20日、京都)の最終追い切りが16日、東西トレセンで行われた。第91代ダービー馬のダノンデサイルは坂路で馬なり単走ながら躍動感あふれる走りを披露。全体的に厚みを増して王者の風格が漂う。入念に乗り込まれて約5カ月ぶりの実戦でも不安はない。ダービー&菊花賞の“2冠制覇”なら1973年タケホープ以来、51年ぶりとなる。同レースはきょう17日に出走馬、枠順が決まる。

 ダービー馬にもう強い負荷は必要ない。ダノンデサイルは午前8時30分、坂路に堂々と登場。世代の頂点に立った前走時の最終追いと同じくさらっと駆け上がった。馬なりのまま4F54秒2~1F13秒1。目立つ時計ではないが、ダイナミックなフォーム。手綱を取った安田師は「エキサイトすることなく過ごせている。今週もダービーの時よりはなだめる度合いは軽めでした」と成長を明かした。

 クラシック3冠初戦の皐月賞は右前肢ハ行を発症して競走除外。その無念を大一番で見事晴らしたが、頓挫した後のダービー制覇だけに馬への負担は大きかった。春の経験を糧に、菊花賞はトライアルを使わず直行ローテを選択。指揮官は「この夏は暑くなるだろうと予想して、トライアルの一走が今後の競走生活において負担になると思った。ダービーも間隔が空いた中でしっかり走れたし菊花賞を直接目標にしても、こっちの納得いく準備はできると思ったので」と経緯を説明した。

 夏場は放牧でリフレッシュ。春との変化に指揮官は「体高が伸びた。元々、立派な骨格だったけど春はそれに見合う肉付きではなかった。夏を越して骨格にボリュームが出てきた」と成長を実感する。主戦の横山典も「相当背が伸びたし大きくなった。素晴らしい体になった」と証言する。

 陣営の思惑通り、きっちり仕上がった。1週前は横山典を背にCWコースで6F78秒1の自己ベスト。ダービー1週前の時計を1秒5も更新した。鞍上は「動きはさすがだなと。今回は休み明けで大して速くは感じないのに、素晴らしい時計が出ている。馬の絶対値が違うと思う」とパートナーを評価する。

 ポイントとなる3000メートルの距離にも不安はない。横山典は「ダービーが終わって止めるのが大変だったぐらい」と振り返り「その時に(距離は)長い方がいいだろうと。折り合いの方も、何回も乗せてもらっているので、コンタクトは取れると思う。とても楽しみ」と期待を寄せた。

 ダービー&菊花賞の2冠制覇なら1973年タケホープ以来、51年ぶりとなる。指揮官は「ダービー馬らしい走りはしないといけないという意識はあるけど、自然体でレースに向き合いたいと思う」。皐月賞除外からダービーを制した規格外のダービー馬に常識は通用しない。王者の走りで同世代を蹴散らし、再び頂点に立つ。

 【横山典に聞く】
 ――ひと夏を越えた印象は?
 「帰った時はずいぶんスッキリした格好だなと。休み明けでもっとふっくらしていると思ったけど、近くで見た時に相当背が伸びたなと。調教師も20~30キロ増えたと。大きくなったという感じですね」

 ――デビューからの変化は?
 「最初またがった時に走り方から性格がまだまだ幼いところがあるし、凄い奥手と自分の中では感じていた。こんなに早くダービーでいい結果を出してくれたというのは驚きだったので、年さえ取ればその辺が良くなると思っていたので、今のところ順調にきている」

 ――菊花賞に向けて?
 「3000メートルをいかに楽しく、いかにリズム良く走れるかが僕のテーマ。僕自身やることはデサイルの力をいかにパーフェクトに発揮させるかです」

 ○…先週の秋華賞はオークスV以来だったチェルヴィニアが牝馬2冠制覇。近年は直行ローテがトレンドになっている。18年以降、前走から3カ月以上の間隔を空けて菊花賞に出走した馬は【1・1・0・2】の成績。18年フィエールマンはラジオNIKKEI賞2着以来でV、昨年タスティエーラはダービーVから参戦して2着だった。過去には1987年皐月賞V以来だったサクラスターオーが中202日の間隔で菊花賞を制している。

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