藤沢則雄師 半世紀のホースマン人生にピリオド 定年引退を前に「とうとう自分の番が来たな」

2025年2月26日 05:25

藤沢則雄調教師 (撮影・亀井 直樹)

 半世紀にわたるホースマン人生にピリオドを打つ時が来た。藤沢師は定年引退を前に「とうとう自分の番が来たな。毎朝、調教スタンドで他の調教師とあいさつを交わすことがなくなることが寂しいね」と残りの日々をかみしめる。

 実家は北海道静内町で牧場を営み、幼少の頃から馬と触れ合っていた。「生まれた時から(馬が)身近な存在だった」と振り返る。大学卒業後、この世界へ飛び込んだ。79年に栗東・島崎宏厩舎の厩務員としてキャリアをスタート。調教師試験に合格する98年まで同厩舎ひと筋だった。当時は調教師の息子や引退した騎手が調教師となることが多い時代。「専門紙のトラックマンの方に調教助手からでも調教師になれるよ」とアドバイスをもらったことがきっかけとなった。

 99年に厩舎を開業。04年京都大賞典のナリタセンチュリーで重賞初制覇を飾った。「阪神が苦手で京都が得意な馬だった」。指揮官が最も印象に残るレースは06年宝塚記念。この年は阪神競馬場改修工事のため、京都で施行された。「当時、最強と言われたディープインパクト相手に2着。雨で馬場の悪い中、よく頑張ってくれた」と懐かしむ。

 ダート短距離でG33勝を挙げたシルクフォーチュン、20年高松宮記念で1位入線後に4着降着となったクリノガウディーなど個性派を育て上げた。引退後の日々について「本を読むことが好きなので、まだまだ勉強したいと思います」と柔和な笑顔を見せた。人にも馬にも愛情あふれる指揮官がホースマン人生の集大成を迎える。 (新谷 尚太)

 ◇藤沢 則雄(ふじさわ・のりお)1954年(昭29)8月19日生まれ、北海道出身の70歳。98年に調教師免許を取得し、99年に厩舎を開業。JRA通算5386戦302勝、うち重賞8勝。趣味は読書。引退後は「馬券を買ってファンの方と一緒に競馬を楽しみたい」。

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