河内師 小倉で決めた有終V!「騎手時代から続いた競馬人生は楽しかった」

2025年3月3日 04:20

鮫島駿から花束を贈られた河内師(右)

 2日は定年引退を迎える調教師にとって最後のJRA開催日。河内洋師(70)の管理するアスクドゥポルテ(牡5)が小倉11R「関門橋S」を鼻差で制した。続くラスト重賞に送り込んだ阪神11R「第32回チューリップ賞」のウォーターガーベラは弟弟子・武豊(55)とのタッグで鼻差2着。河内の夢は豊の意地で桜花賞へつないだ。

 大きな、大きな鼻差。小倉メイン11Rで河内洋師の思いを背負った西塚が気迫のこもった右ムチでアスクドゥポルテを鼓舞する。まるでG1のような大歓声に沸いた直線は2頭が同時にゴール板を駆け抜けた。スタートからゴールまで椅子に座り、静かにレースを見守った河内師は検量室前に戻ってきた西塚に「勝ったか?」とひと言。鞍上は興奮気味に「早く確定してほしい」と勝利を祈った。

 写真判定の末、電光掲示板に12番の数字が点灯すると、後輩騎手、調教師の仲間から祝福の嵐。満面の笑みで握手を交わした。「おめでとう」と次々に飛び交うファンの言葉に河内師は右手を上げて応えた。小倉まで駆けつけた家族はうれしさのあまり大号泣。河内師は「何とかしのいでくれて良かった。(ゴール前は)自分より後ろの方(家族)が声が出ていた。(小倉で)一つ勝てて良かった」と笑顔を浮かべた。

 歓喜の勝利から15分後。管理馬ウォーターガーベラを送り出した阪神11R・チューリップ賞がJRA最後のレース。河内師は関係者室のテレビで熱い視線を送った。弟弟子の武豊が直線、こん身のイン突きで強襲したが惜しくも鼻差2着。弟弟子の騎乗ぶりについて「50点やな。うまかったら勝っとった。もう、しばらく会わんから言ってもいいやろ(笑い)」と“河内節”で語った。

 厩舎解散に伴い、ウォーターガーベラは普段から親交の深い石橋厩舎に転厩する予定。河内の夢は受け継がれていく。「何とか桜花賞(4月13日、阪神)と思っていたので(権利を獲れて)良かった。まだ非力なところがあるので一戦一戦、力をつけてくれたら」と今後に期待を膨らませた。

 74年に19歳で騎手デビュー。00年ダービー馬アグネスフライトなど数多くの名馬の背中を知る。05年に厩舎を開業。騎手と調教師を合わせて約半世紀のホースマン人生を歩んだ。「まだあまり実感はないけど、勝ったり負けたり、騎手時代から続いた競馬人生は楽しかった。いい形で締めくくれた」。大好きな馬と向き合い続けた日々。競馬界に残した功績は後世に語り継がれる。

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