10年前はキタサンブラックが制したスプリングS…今年は?

2025年3月14日 05:05

15年スプリングSを制したキタサンブラック(左)

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 今からちょうど10年前の2015年、スプリングS(G2)を制したのがキタサンブラックだった。

 同年の秋には菊花賞(G1)を勝ってG1馬の仲間入りを果たす同馬は、古馬になってレジェンド・武豊騎手を鞍上に迎える。するとその後は、ほとんど崩れることなくG1を勝ちまくる。16年には天皇賞・春とジャパンC、翌17年はこの年からG1に昇格した大阪杯を勝つとそのままの勢いで天皇賞・春を前年に続き連覇。さらに天皇賞・秋も勝ち、春秋天皇賞制覇を果たすと、ラストランとなった有馬記念も優勝。最終的に当時のJRA最多勝タイ記録となる7度のG1制覇を成し遂げてみせた。

 さて、こんな名馬であるが、スプリングSに出走した時点ではまだ2戦のキャリアのみ。その2戦をいずれも勝利してはいたが、管理する清水久詞調教師は「半信半疑の気持ちでスプリングSに送り込みました」と後に語っている。

 「2戦2勝といっても新馬戦と自己条件の500万下を勝っただけでした。相手関係を見ると、レース選択を誤ったか?!と思ったのです」

 実際、この年の皐月賞前哨戦はなかなかのメンバーがそろっていた。同じ2戦2勝でも重賞の共同通信杯(G3)を勝っていたリアルスティール、前年の朝日杯フューチュリティS(G1)の覇者でJRA賞最優秀2歳牡馬に選定されたダノンプラチナ、京成杯(G3)の1、2着馬であるベルーフとブラックバゴ。世間のキタサンブラックを見る目も清水調教師と同様、半信半疑だったと思え、彼らに続く5番人気という評価でしかなかった。

 しかし、北村宏司騎手にいざなわれた後のG1馬は、2番手で流れに乗ると早めに抜け出す。最後はリアルスティールの追い上げをしのぎ、見事に先頭でゴールを駆け抜けたのである。

 「オーナーも久しぶりの重賞制覇だったので喜んでくれました」

 オーナーはご存じ歌手の北島三郎氏。さて、そんなスプリングSが今週末、行われる。果たして今年はどんなドラマが待っているだろう。 (フリーライター)

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