【NHKマイルC】パンジャタワー大激戦制した!頭差で3歳マイル王 松山は4年ぶりG1制覇
2025年5月12日 05:25 3歳マイル王決定戦「第30回NHKマイルC」が11日、東京競馬場で行われ、9番人気のパンジャタワーが優勝。2着に3番人気マジックサンズ、3着に12番人気チェルビアットが入り、3連単150万5950円の波乱決着となった。松山弘平(35)は21年チャンピオンズC(テーオーケインズ)以来6度目のJRA・G1制覇。エプソムCに続く土日東京重賞連続Vを達成した橋口慎介師(50)は18年JBCスプリント(Jpn1、グレイスフルリープ)以来、7年ぶり2度目のG1優勝を飾った。
「必死だった。どっちが勝ったのか分からないくらい無我夢中だった」。松山がこう振り返ったゴール前の大激戦。直線残り200メートルで外から先頭に立ったパンジャタワーに、内からマジックサンズとチェルビアットが襲いかかる。だが、抜かせない。こん身の右ステッキに応え、頭差しのいで3歳マイル王の称号を手に入れた。
道中は10番手。朝日杯FS(12着)以来2戦ぶりにコンビを組んだ鞍上は「とにかく馬のリズムを重視することだけを考えた」とプランを明かした。典型的な逃げ馬不在の中、前半600メートル通過33秒4という想定外のハイペース。それでもデビューから3戦連続で手綱を握った相棒への信頼は揺るがなかった。「速いペースで流れたが東京(京王杯2歳S)で勝っていたし、差して強い競馬をしていた。その時のイメージを持っていた」。道中は中団の外めにエスコート。直線入り口で満を持して仕掛けると、あっという間に先行集団を射程圏に捉えた。「少し抜け出すのが早かったかなと思った」という鞍上の心配をよそに、最後は驚異的な粘り腰を発揮した。
人馬だけではない。ジョッキーとトレーナーも絶大な信頼関係で結ばれている。共に池添兼雄厩舎(23年解散)で汗を流した仲。松山は09年に同厩舎所属でデビューし、師は00年から14年まで厩務員、調教助手を務めた。「昔からお世話になっている橋口先生と一緒にG1を勝てたのがうれしい」と松山が語れば、橋口師も「この馬のことを一番分かってくれているジョッキー。特別指示をすることは何もなかった」と称賛。これ以上ないパートナーと喜びを分かち合った。
師の父・橋口弘次郎元調教師はハーツクライ、ダンスインザダークなど多くの名馬を育て上げた名トレーナー。同レースも06年にロジックで制している。偉大な父に一歩近づき「(俺も)勝ったぞと自慢します」と笑った指揮官は、土曜東京エプソムC(セイウンハーデス)に続く2日連続の重賞制覇。今回、最終追いをこれまでの坂路からCWコースに変更したことを振り返り「距離を持たせるような調教をしてきた。状態は申し分なかった。本数を増やしたことも良かった。筋肉質で追い切りは動き過ぎるくらい。それがこの結果につながってくれた」と満足そうに語った。
次走は未定だが、同世代のライバルたちを倒した価値ある1勝。「まだこれからの馬で完成していない。もっともっと強くなる」。大いなる可能性を秘めたパンジャタワーの動向から目が離せなくなった。
◆パンジャタワー 父タワーオブロンドン 母クラークスデール(母の父ヴィクトワールピサ)22年2月21日生まれ 牡3歳 栗東・橋口厩舎所属 馬主・Deep Creek 生産者・北海道新ひだか町のチャンピオンズファーム 戦績5戦3勝(重賞2勝目)総獲得賞金1億8567万円 馬名の由来は冠名+父名の一部。