【オークス】カムニャック樫の女王 51歳シュタルケがJRA・G1初制覇「夢がかなった」
2025年5月26日 05:29 3歳牝馬クラシック最終冠「第86回オークス」が25日、東京競馬場で行われ、4番人気のカムニャックがアルマヴェローチェとの叩き合いを制して優勝。鞍上のアンドレアシュ・シュタルケ(ドイツ)はJRA・G1初制覇。51歳4カ月22日での勝利は、安藤勝己の49歳1カ月27日(09年ブエナビスタ)を更新するオークスの騎手最年長V。管理する友道康夫師(61)は牝馬クラシック初制覇となった。
大激戦のゴール前、4万人の大観衆が固唾(かたず)をのんだ。馬場の真ん中を力強く伸びたカムニャックと、内から抜け出したアルマヴェローチェのしびれる叩き合い。2頭が並んでゴールに飛び込んだ。だが、馬上のシュタルケは勝利を確信していた。「反応が凄く良かった。気持ちを切らさず走ってくれたので勝ったと思った」。
初挑戦となった97年ジャパンC(カイタノ4着)から28年。悲願のJRA・G1初制覇を飾ったドイツの仕事人は「日本でG1を勝つことが夢だった。それがかなってうれしい。レベルの高い18頭の中で、彼女の能力を発揮できた。これ以上の喜びはない」。オークス最年長V、51歳の大ベテランは、少年のように顔を紅潮させながら特別な1勝をかみしめた。
凱旋門賞も制した(11年デインドリーム)世界的名手の手綱さばきが光った。スタートを決めると、道中は中団待機。前に馬を置き、じっと我慢を利かせた。「(手綱を)押していくと掛かって消耗することもあると思った。後ろの位置でペースも流れていない感触だったが我慢させた」。終始、冷静に運んで直線は馬場の良い外へ。鞍上が左ステッキでゴーサインを出すと、上がり全体2位の3F33秒8の末脚がさく裂。先に抜け出したアルマヴェローチェを頭差でねじ伏せた。前走フローラSからのコンビで2戦2勝。わずかな期間で相棒のポテンシャルを完全に把握し、最大限に引き出した。
ダービー3勝、牡馬クラシック6勝を誇る友道師は、意外にも牝馬クラシック初制覇。「うれしいです。預かった時から距離は持つ馬だし、オークスに何とか出走して勝ちたいと思っていた」と喜んだ。新馬戦を制した後は疲労が尾を引き連敗を喫したが、フローラSでV字回復。「前走を使った上積みも大きく、馬体はふっくらして落ち着きがあった。ダメージもなく中間はカイバもしっかり食べて、2回目の輸送も大丈夫だった」。期待に応えた愛馬の成長に目を細めた。
今後は秋の大舞台が視野に入る。「春はようやく間に合ったという感じ。夏を越して、秋はさらに良くなってくる。秋華賞(10月19日、京都)を第一に目指すことになると思う」と指揮官。鞍上も「スタミナがあるのが強み。どんな馬場でもこなせるし、将来が楽しみ。牡馬相手にも戦えると思う」とさらなる活躍に太鼓判を押した。王道の桜花賞組を差し切った末脚を自信に、樫の女王は次のステージを目指す。
◆カムニャック 父ブラックタイド 母ダンスアミーガ(母の父サクラバクシンオー) 22年4月14日生まれ 牝3歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・金子真人ホールディングス 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績5戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億4442万1000円 馬名の由来は祝福された者(サンブル語)。