【オークス】鈴木康弘氏 カムニャック明暗分けた距離適性と完成度の高さ

2025年5月26日 05:28

<オークス>レースを制したカムニャック。騎乗したシュタルケはウイニングランで観客に手を振る(撮影・郡司 修)

 【鈴木康弘 達眼解説】オークスで問われるのは距離適性と完成度の高さ。この2つの条件を完璧に満たしていたのがカムニャックでした。1角過ぎ(スタート4F目)から4角手前まで12秒台後半の緩いラップを5F連続(12秒6~12秒6~12秒7~12秒9~12秒9)で刻む流れ。カムニャックはどのライバルよりもリラックスして走っていた。はやる気を抑えられない桜花賞馬エンブロイダリーとは対照的な落ち着き。中だるみしたような流れでもハミをかまずにゆったりと追走できたことが、後半の素晴らしいパフォーマンスにつながりました。中団より少し後ろの位置から外を回って長くいい脚を使った。ラスト3F11秒6~11秒4~11秒7の速い上がりをじわじわと伸びて差し切ったのだから凄い。道中のリラックスした走りと息の長い末脚。中長距離ホースの持ち味をいかんなく発揮できました。

 半兄キープカルム(ロードカナロア産駒)はマイル路線で活躍していますが、こちらは父がブラックタイドに替わって伸びやかな体つき。各部位のつながりにもゆとりがあります。そんな中長距離体形通りのレースができました。

 レース後、鞍を外した時に目にとまったのが古馬のように盛り上がったキ甲。首差しもしっかり抜けている。フローラSの勝利でようやくオークス切符を手にできた“遅れてきたヒロイン”ですが、馬体は桜花賞組よりも完成されていました。

 2着アルマヴェローチェは緩い流れに対応して早めに抜け出す理想的なレースぶり。2000メートルがベストと思わせる体形だけに秋華賞に期待したい。エンブロイダリーはアルマヴェローチェとほぼ同じ6、7番手の位置取りでしたが、4角で手応えがなかった。距離の壁を感じさせました。(NHK解説者)

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