“メイショウ軍団”松本オーナー JRA個人馬主初の快挙へ!JRA通算2000勝まであと5勝

2025年8月1日 05:30

メイショウの松本好雄オーナー

 とてつもない記録が見えてきた。メイショウの冠名で知られ、JRA通算1995勝をマークしている松本好雄氏(87)が31日、本紙の取材に応じ、心境を語った。先週4勝を挙げ、個人馬主として初のJRA通算2000勝に迫る競馬界の巨匠。これまでも、そして、これからも――。人と人、馬とのつながりを大切に、競馬に深く携わっていく。

 いい流れで8月最初の週末を迎える。松本好雄氏の所有馬は先週土曜に中京10R・1勝クラスでメイショウソウセキが9番人気Vを決めると翌日は札幌1R・3歳未勝利の9番人気メイショウハマギクから中京4R・3歳未勝利の6番人気メイショウサトノヒ、続く中京5R・3歳未勝利の2番人気メイショウセイロウと怒濤(どとう)の連勝劇。同じ冠名の妻・和子氏、長男・好隆氏の所有馬とは別にJRA通算2000勝へ、あと5勝となった。「JRAの方から、あと何勝ですと連絡があり、そうなのかと…。えらいことを続けてきたなと本当に思います。個人で年間40勝もなかなかできませんが50年やって、この数字ですからね。本当にありがたいことです」としみじみ。1995勝は社台レースホース、サンデーレーシング、キャロットファーム、サラブレッドクラブ・ラフィアンに次ぐ勝利数で個人馬主としては断トツだ。競馬に送り出し、その上で勝つことの重みをかみしめている。

 今年はメイショウタバルで宝塚記念V。管理トレーナーが石橋師、鞍上・武豊とつながりの深いチームでサマーグランプリをものにした。「私の座右の銘である“人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる”ということを本当に感じていますね。宝塚記念を勝ってくれて、その調教師が私の一番の思い出である06年ダービー馬メイショウサムソンの騎手、石橋守君。そして豊君。宝塚記念を勝った時に豊君がインタビューでいいこと(人がつないでくれた馬の縁、そして馬がつないでくれた人の縁)を言ってくれてね。うれしかったです。本当に彼は凄い」と感謝の思いを口にした。

 宝塚記念の翌週、メイショウタバルの生まれ故郷・三嶋牧場(北海道浦河町)へ。同じタイミングで武豊も訪れた。「偶然、彼と会って驚きましたよ。その日はお互い、いろいろ話し合って泣きました。私のわがままですが、タイミングが合うようなら豊君に乗ってもらって2000勝を決められたら…と今は願っています。これからも長い目でファンの皆さまにメイショウの馬を応援していただければ幸いです」。おそらく最初で最後であろう個人馬主としての大記録が目前に迫った。

 ◇松本 好雄(まつもと・よしお)1938年(昭13)1月6日生まれ、兵庫県明石市出身の87歳。明石高校から千葉工業大卒。船舶用エンジンやエネルギー産業、航空機部品加工などを手がける株式会社きしろ代表取締役会長。74年に馬主資格を取得。冠名メイショウは「明石の松本」が由来で名将とかけている。主な所有馬にメイショウドトウ、メイショウボーラー、メイショウサムソン、メイショウマンボ、メイショウタバルなど。2005年より日本馬主協会連合会会長、現在は名誉会長。07年に紺綬褒章、10年に旭日小綬章を受章。座右の銘は「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」。

 《競馬関係者から尊敬される会長》松本好雄氏と縁がある騎手、調教師、厩舎関係者らは多い。騎手時代にメイショウオウドウで00年大阪杯と01年鳴尾記念を制し調教師としてはメイショウダッサイで20年中山大障害、21年中山GJを制した飯田師は「親(飯田明弘元調教師)の世代からお世話になっています。騎手はもちろん、調教師や厩務員さん、生産牧場まで競馬界全体のことを考えていらっしゃる。10代の頃からお世話になっていて、今まで迷惑もかけたけど、人として強い方で我慢をしてくださった。凄いだけでは言葉が足りない」と尊敬の念を抱く。

 同じく松本好雄氏の所有馬で53勝の安達師はメイショウオスカルで04年フローラSと05年福島牝馬S、メイショウカズサで21年プロキオンSと重賞3勝。安達師は「人情味がある方で私が若い頃から馬を預けてくださっています」と頭を下げる。現在、3勝クラスのメイショウシナノなど4頭を管理している大橋師は「ジョッキーを含めて、みんなが会長と呼んで慕っている。義理堅く、人情深い。今どき、あれだけの人格者はなかなか見ない」と偉大さを語った。

 所有馬は今週、中京と札幌で計11頭がスタンバイ。日曜中京12R・1勝クラスに出走するメイショウタマユラは大橋師の管理馬。休み明けでスプリント初起用だった前走は9着に敗れたが初陣Vを飾った芝7Fで巻き返しを図る。「前走の小倉から輸送が短くなるのはいい。一度叩いた上積みはあると思うし勝ち星のある距離なら」と期待を込めた。大記録へカウントダウン。半世紀以上にわたり、競馬界の最前線で活躍している「青、桃たすき、桃袖」の勝負服から目が離せない。 

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