【BCクラシック】フォーエバーヤング歴史的V! 矢作師は感無量「サッカーW杯で優勝したようなもの」
2025年11月3日 05:30 世界の“YAHAGI”が米国競馬の頂点に立った。競馬の祭典「ブリーダーズカップ」が1日(日本時間2日)、カリフォルニア州サンディエゴ近郊のデルマー競馬場で行われ、BCクラシックに出走した坂井瑠星(28)騎乗のフォーエバーヤングが勝ち、日本調教馬史上初の快挙を達成した。この勝利で獲得賞金は約30億円となり、日本馬歴代トップに浮上。管理する矢作芳人師(64)は海外G1・10勝目のメモリアルとなった。
さあ、来るなら来い。日本のフォーエバーヤングが3角で堂々と先頭に立った。パートナーを信じ切った坂井の強気なエスコート。ゴール前で昨年の勝ち馬シエラレオーネが迫って来た。それでも抜かせない。半馬身差で振り切り、米国競馬の頂点に立った。歴史的な勝利に導いた坂井は右手を突き上げ、喜びを爆発。馬上で行われたインタビューでは「信じられない。夢のようです」と笑顔を見せた。
スタンドで見守った矢作師は黒い帽子を飛ばしながら藤田晋オーナー、厩舎スタッフと抱き合って喜んだ。指揮官は「日本代表がサッカーW杯で優勝したようなもの。今回はこれで負けたら望みはないというぐらいの仕上げだった。やりましたよ!!やったよ!!ついにアメリカの頂点を獲った!!」と世界の競馬ファンに向けて、喜びの声を届けた。
矢作師にとっては4年前に日本人トレーナー初のBC制覇の快挙を達成した思い出のデルマー競馬場。ラヴズオンリーユー(BCフィリー&メアターフ)、マルシュロレーヌ(BCディスタフ)に続く勝利となり、地元メディアからは“ミスターデルマー”と称えられた。この勝利は師にとって海外G1・10勝目で、自身が持つJRA調教師の海外G1最多勝記録を更新。「この1年はここを勝つためにやって来たと言っても過言ではない。BCクラシックでこんなに人気ある馬がオレの馬かと。ゴールした瞬間は何も言葉がなかった」と感無量の表情で語った。
昨年3着のリベンジを懸けて挑んだ大一番。チーム矢作は週中の現地28日にドジャースタジアムでワールドシリーズの第4戦を観戦。頂点を決める試合を見て、刺激を受けた。レース前日にはチームで決起集会。坂井は「昨日の食事会でみんな勝つ前提で話していて、これはプレッシャーだなと思いました」と笑顔で振り返る。それでも馬上では堂々とした立ち回り。「馬は完成に近づいていると思うし、これだけ海外でいい状態で臨めることもない。とにかく自信を持って乗りました」とパートナーへの揺るぎない信頼が勝利に結びついた。
日本人ジョッキーとしてBCクラシック初制覇を飾った鞍上は「アメリカで勝つのが夢だった。それをかなえられてうれしい」と吐露。そして「世界一になったのはフォーエバーヤング。僕がなったわけではない。この馬にふさわしい世界一のジョッキーになりたいと思います」と気を引き締めた。世界の“YAHAGI”の挑戦はまだまだ終わらない。来年も日本代表として、世界の競馬を引っ張っていく。
◆フォーエバーヤング 父リアルスティール 母フォエヴァーダーリング(母の父コングラッツ)21年2月24日生まれ 牡4歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・藤田晋氏 北海道安平町のノーザンファーム 戦績13戦10勝 総獲得賞金29億9350万4900円。馬名の由来は「曲名より」。
▼ルメール アメリカはスーパーハイレベル。アメリカのトップ馬を相手に凄いパフォーマンスだったね。日本競馬界にとって凄いこと。(坂井)瑠星君もおめでたい。自信を持って乗っていたね。
≪吉田代表笑顔「自信あった」≫同馬を生産したノーザンファームの吉田勝己代表は開口一番、「凄いですね」と笑顔を見せた。レースはテレビで視聴したといい「ガラッと馬が変わっていて調子が凄く良かったから、今日は本当に自信があった。大変な快挙で本当に素晴らしい」と感無量の様子。続けて「北海道の時から馬を毎日見ていた。こんなに幸せなことは、なかなかないです。日本の馬は強いですよ」と語った。
≪29億9350万4900円 獲得賞金日本歴代トップ≫海外のレースの賞金は毎年フランスギャロが年始に公式レートを発表し、JRAはそれを基に換算する。今年は1ドル=約157円で、BCクラシックの1着賞金364万ドルは約5億7156万円となる。フォーエバーヤングの獲得賞金は29億9350万4900円(JRA発表前の暫定額)となり、日本調教馬の歴代獲得賞金ランキングでトップとなった。





