【新春インタビュー 矢作芳人師】常に挑戦者で 今年はリーディング奪還&国内G1勝ちを目標に
2026年1月1日 05:30 “世界のYAHAGI”として国内外で活躍を続ける矢作芳人師(64)が、スポニチ本紙の新春インタビューに登場。昨年の米G1・BCクラシックで悲願の日本馬初Vを果たしたフォーエバーヤングの今後や坂井、古川奈ら厩舎スタッフの人材育成方針、そして午(うま)年にかける意気込みをたっぷり語ってくれた。
――本年もよろしくお願いいたします。
「スポニチ読者の皆さま、あけましておめでとうございます」
――最初に25年を振り返ってください。
「海外でホースマンとして目標だった(11月の)BCクラシックを獲ることができたことは本当にうれしく思っていますし、光栄なこと。一方で日本の成績に関しては、我々が目指しているところでなく、全然、満足していない(JRA45勝)。海外と日本のバランスを取ることは非常に難しい。26年もそこが課題になるけど厩舎全体で(その課題に)取り組んでいきます」
――25年はフォーエバーヤングが海外G12勝を挙げました。
「矢作厩舎の馬なのに、年間で4回しか(競馬に)走っていない。いかに一戦一戦が全力投球だったかということです」
――海外の超一流を相手に消耗度の大きさが予想されます。
「ただ、フォーエバーヤングの回復力は凄かった。使おうと思えばレースに使えたよ。25年の前半は中東の2戦を目標にしていた。でもドバイでは、ああいうことがあったからね(ドバイワールドC3着=レース前に尿検査のため暗室に隔離)。余計に間隔を取って、慎重に進めてきた」
――秋は船橋の日本テレビ盃(1着)から始動して米国遠征へ。
「(フォーエバーヤングは)回復力も含め、全ての能力がとてつもなく普通の馬を超えていると、改めて感じるレースだったと思う」
――フォーエバーヤングの26年のローテは?
「昨年の前半と同様、サウジC(2月14日、キングアブドゥルアジーズ)から始動して、ドバイワールドC(3月28日、メイダン)の2戦へ。その後はオーナー(藤田晋氏)との話の中でも全くの白紙です。(サウジCで)ロマンチックウォリアーとやれなくなったことが本当に残念だね」
――矢作厩舎は海外経験が豊富。人材育成について。
「7~8年前になるかな。当時も今もこんなことをやる厩舎は聞いたことがないけど、いわゆる一般の企業にある社員研修みたいなことを行った。仲間との関係性や馬主さんとお付き合いをする上でのテーブルマナーや話し方とか、企業としてどうあるべきかということを自分自身も含めてスタッフに学んでもらった」
――研修の成果は大きかったでしょうか?
「(坂井)瑠星もやったよ。普段の厩舎作業を終えてから研修を始めたので、あの時スタッフは本当にしんどかったと思う。俺自身もよくやったなと思う、お金もかかったしね(笑い)。だけどスタッフはよく俺の考えについてきてくれた。その研修を完遂して、そこから(厩舎は)上がってきた。あの研修があったからこそ、現在の矢作厩舎の組織力があると思っています」
――坂井、古川奈の弟子への思いは?
「瑠星は上には上がいて、世界のトップジョッキーとはまだ差があると思う。もちろん技術面で上げていかなければならないけど、この地位まできたので人間的な大きさや深さを身につけてほしい。それが一番かな。(古川)奈穂は本当に頑張っている。何とかあいつを乗せたまま、大きなレースに向かえる馬をつくりたいと思っています」
――昨年は競馬以外にもたくさん話題がありました。その中でドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」の最終回に出演されました。
「監督から“いつも通りで”と言われていたので、いつも通りやるために瑠星と2人で相談してBC(クラシック)の通りにやろうと決めた」
――最後に矢作師の今後の野望について。
「周りからは“凱旋門賞、凱旋門賞”と言われてもう十分でしょうと思うけどね(笑い)。でも俺は常に挑戦者でありたい。ホースマンとして、人生の目標として引退する日までケンタッキーダービーと凱旋門賞を勝つということは考えています。ただ今年に関しては、リーディング奪還と日本のG1勝ちを目標に厩舎全体で頑張っていきます」
≪坂井と賞総なめ≫矢作師は昨年、日本人調教師初の米BCクラシック制覇を達成。その功績が称えられ、昨年12月23日には「第69回関西スポーツ賞」を矢作師と弟子の坂井が、また関西競馬記者クラブ(加盟19社)の「関西記者クラブ賞」、そして東京競馬記者クラブ(16社で構成)から「東京競馬記者クラブ」特別賞をフォーエバーヤングが、それぞれ受賞した。矢作師は「伝統ある賞をいただき、とても光栄です。フォーエバーヤングをはじめ馬たち、応援してくださった全ての方に感謝します」と、26年のさらなる飛躍を誓った。
◇矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日生まれ、東京都出身の64歳。日本有数の進学校、開成高卒業後、オーストラリアに渡って武者修行。84年、栗東トレセンで厩務員。調教助手を経て04年、14度目の挑戦で調教師試験に合格。JRA通算9564戦941勝(重賞は20年の牡馬3冠馬コントレイルなどで59勝)。海外でも昨年の米BCクラシックなど多くのG1制覇がある。

