【愛知杯】橋田宜師 開業19日目JRA初勝利が重賞初V!歴代2位&グレード制導入後では“最速”

2026年3月23日 05:30

<中京11R愛知杯>アイサンサンでレースを制し橋田師(左)と握手する幸(撮影・郡司 修)

 古馬牝馬の7F重賞「第63回愛知杯」が22日、中京競馬場で行われ、12番人気の伏兵アイサンサンが逃げ切りV。4日に開業した橋田宜長師(37)は新規開業調教師一番乗りで重賞に挑み、歴代2位のスピード記録となる開業19日目(9戦目)の重賞勝利となった。初勝利が重賞となったのは11年阪神スプリングジャンプの菊沢隆徳師以来、史上5人目。また、鞍上の幸英明(50)はJRA重賞50勝のメモリアルV。記録ずくめの劇的な決着となった一戦は3連単73万円超の波乱となった。

 記念すべき初白星は重賞での戴冠。4日に開業した橋田師が、これ以上ない華々しいスタートを切った。送り出したアイサンサンは大外18番枠から果敢に先手を奪い、そのまま逃げ切りV。勝利が確定すると、検量室では多くの先輩調教師から「おめでとう」と祝福の嵐。師は「(同馬を引き継いだ)佐々木先生に感謝しています。いい状態で送り出していただき、お土産というか、いい贈り物をしてくださった。こういう結果になってうれしいです」と笑顔を見せた。

 完璧なエスコートを決めた50歳の幸はJRA重賞50勝目。好発からハナを奪い、道中はリズム良く運んだ。直線は2着馬が外から迫ると鞍上の右ステッキに応え、もうひと伸び。前へグイッと出て、頭差でゴールに飛び込んだ。「どこまで粘れるかと思いましたが、よく盛り返してくれた。本当に頑張ってくれました」とパートナーを称える。

 昨年11月に落馬負傷で複数箇所の大手術を乗り越え、1月末に復帰。また強い幸が帰ってきた。「(自分の)節目というのは考えていなかった。ケガをして心が折れていたが勝たせていただいて、また頑張ろうと思いました」と新たな決意を口にした。

 若きトレーナーは23年から中竹厩舎で調教助手としてスキルを磨いた。そこでの経験から同じキズナ産駒で当時、自身が携わったアリスヴェリテ(24年マーメイドS勝ち)とアイサンサンを重ねた。「キズナの芯の強さが最後に出たと思います。キズナ産駒をたくさん触らせてもらって、この2週間、馬のメンタルを持っていく中で、経験が凄く生きたと思います」と胸を張った。「追い詰め過ぎず、甘えさせ過ぎないバランス。あの馬(アリスヴェリテ)も逃げ馬ですしね。イメージしながら調整させてもらいました」と振り返った。

 開業から19日での重賞制覇は5日で75年クイーンS(アンセルモ)を制した諏訪富三師に次ぐ記録。グレード制導入の84年以降では最速となった。初めて立ったウイナーズサークルの表彰台で、ひときわ目立った赤色のネクタイは勝負服と合わせた。「人に恵まれていますね。スタッフもオーナーも本当に素晴らしい。運がいい人生だと思います」。周りへの感謝を忘れない謙虚な橋田師。最高のスタートを切った厩舎は、これから多くの名馬を育てていくに違いない。

 ◇橋田 宜長(はしだ・よしたけ)1988年(昭63)10月4日生まれ、滋賀県出身の37歳。栗東の調教師だった父・満氏の下で15年から調教助手。ディアドラの海外7カ国転戦(19年春から20年秋)にも携わった。23年、父の定年引退による厩舎解散に伴って中竹厩舎へ。24年に調教師試験合格。思い出の馬はスズカロング。「幼稚園、小学校の同級生だった藤岡康太さんと唯一、一緒に勝てた馬でした」。今月4日に開業し、JRA通算9戦1勝。

 ◆アイサンサン 父キズナ 母ウアジェト(母の父シンボリクリスエス)22年4月19日生まれ 牝4歳 栗東・橋田厩舎所属 馬主・岡浩二氏 生産者・北海道新ひだか町のサンデーヒルズ 戦績12戦5勝(重賞初勝利) 総獲得賞金9259万9000円 馬名の意味は愛燦燦(深い愛情が太陽のように光を放ちながら全身に降り注ぐさま)。

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