米競馬界に激震、全6戦の新3歳王者決定シリーズ創設 プリークネスS排除で伝統の3冠が事実上の解体へ

2026年8月4日 04:15

チャーチルダウンズ競馬場(C)Coady Media

 米競馬界の二大巨頭、ケンタッキー州ルイビルに本社を置くチャーチルダウンズ社(CDI)とニューヨークの競馬を統括するニューヨーク競馬協会(NYRA)は3日、来年から米3歳サラブレッドの王者を決める新機軸の年間シリーズ「サラブレッドチャンピオンシップシリーズ」を創設すると発表した。

 5カ月間に及ぶ全6レースのスケジュールと、総額500万ドル(約7億5000万円)のボーナスプールを柱とするこの構想は、米国の競馬カレンダーを根本から塗り替えるものだ。しかし、その行程から伝統の3冠第2戦プリークネスSが事実上、排除されたことで業界内に大きな衝撃が走っている。

 このシリーズはCDIが運営するチャーチルダウンズ競馬場とNYRAが運営するベルモントパークおよびサラトガ競馬場を舞台に以下のスケジュールで進行する。

 第1戦ケンタッキーダービー(G1、チャーチルダウンズ)27年5月1日
 第2戦ベルモントS(G1、ベルモントパーク)27年6月5日
 第3戦マットウィンS(G3、チャーチルダウンズ)27年7月(予定)
 第4戦ジムダンディS(G2、サラトガ)27年7月後半~8月前半(予定)
 第5戦トラヴァーズS(G1、サラトガ)27年8月後半(予定)
 最終戦チャンピオンシップレース(チャーチルダウンズ)27年9月(予定)

 特筆すべきは5月1日のダービーから6月5日のベルモントSまで中4週の間隔が空けられている点だ。この空白期間の5月第3土曜に開催されるはずのプリークネスSはシリーズの対象外となっており、有力馬がポイントとボーナスを狙って「プリークネスS回避・ベルモントS直行」を選択する流れを決定付けるものとなっている。

 CDIのビル・カースタンジェン最高経営責任者(CEO)は今回のシリーズ創設の意義について次のようにコメントしている。

 「サラブレッドチャンピオンシップシリーズはこのスポーツの興奮を5カ月間のシーズンにわたって拡大させるものです。ケンタッキーダービーは毎年、何百万人ものファンに新しい世代のサラブレッドスターを紹介し、このシリーズはそれらのファンがシーズンを通してスポーツの最大のスターに注目し続ける理由を提供します。主要なイベントを一つのチャンピオンシップでつなぐことで、サラブレッド競馬の未来に利益をもたらすシーズン全体のストーリーラインを構築しています」

 また、NYRAのデビッド・オルークCEOは新装ベルモントパーク(今秋リニューアルオープン)への帰還と絡めて期待を寄せた。

 「このシリーズはスポーツ界最高の3歳馬をシーズン通したチャンピオンシップで披露し、私たちの最大のイベントをさらに高め、次世代のファンを創出するために設計されています。新しく生まれ変わったベルモントパークにベルモントSが帰還することは私たちのスポーツにとって特にエキサイティングな瞬間となります。チャーチルダウンズやテレビ放映パートナーとともに、私たちは伝統を土台にし、これら重要レースの興奮をシーズン全体へと引き継いでいきます」

 シリーズには独自のポイントシステムが導入され、最終順位に基づき500万ドルのボーナスが分配される。リリースによると「オーナーや調教師がシリーズ全体を通して活動を続けるための有意義な経済的インセンティブを提供する」としており、ファーストレーシング社(1/ST Racing)が運営するプリークネスSへ流れる有力馬を食い止める強力な武器となる。

 さらに、放送網も二分される。CDI運営レースはNBC、NYRA運営レースはFOXで全米中継されることが決定しており、プリークネスSはメディア露出の面でも孤立を深める懸念がある。

 米国の競馬界は今、歴史ある枠組みを超え、巨大資本によるリーグ化という新たな局面に突入した。2027年、3歳馬の主戦場はケンタッキーダービーからプリークネスSが中1週、プリークネスSからベルモントSが中2週と5週間で戦い抜く伝統の3冠ロードから5カ月間の長期戦へと姿を変えることになる。

 ▽米クラシック3冠メモ 今年、ケンタッキーダービー出走馬18頭のうち3頭がプリークネスSに出走し、オシェリ(ケンタッキーダービー3着)が4着、インクレディボルト(同6着)が5着、ロブスタ(同14着)は9着。昨年ケンタッキーダービー馬ソヴリンティ、今年のケンタッキーダービー馬ゴールデンテンポはともにプリークネスSをパスし、ベルモントSで2冠制覇を成し遂げた。歴代3冠馬は13頭で1919年サーバートン、1930年ギャラントフォックス、1935年オマハ、1937年ウォーアドミラル、1941年ワーラウェイ、1943年カウントフリート、1946年アソールト、1948年サイテーション、1973年セクレタリアト、1977年シアトルスルー、1978年アファームド、2015年アメリカンファラオ、2018年ジャスティファイが達成。

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