豪遠征スティンガーグラス、メルボルンC出走不可に CT・PET検査で「負傷リスク高い」と判断
2026年10月30日 09:55 オーストラリア、ヴィクトリア州の競馬を統括するレーシングヴィクトリア(RV)の裁決委員は30日、日本から遠征しているスティンガーグラス(牡5=友道、父キズナ)について、11月3日のメルボルンC(G1、フレミントン芝3200メートル)を含む、今春のスプリングレーシングカーニバルへの出走を認めないと決めた。RVが公式サイトで発表した。
RVの獣医師部門に助言する独立の画像診断専門家が、CT検査と追加のPET検査を検討し、現時点で負傷のリスクが高いと判断したため。RVによると、裁決委員はオーストラリアと日本にいる同馬の関係者に、決定の根拠となった情報を伝えた。
スティンガーグラスは渡航前の8月26日、日本でMRI検査を受けていた。結果を審査した専門家は当時、RVの獣医プロトコルに沿って手続きを進め、オーストラリアへ渡航して出走を目指すことに問題はないとの見解を示していた。その後、日本で2週間の輸出前検疫中も調教を続け、12日にオーストラリアのウェリビー国際馬事センターに到着。到着後も、義務付けられた2週間の検疫を受けながら調整してきた。
状況が変わったのは、メルボルンC出走に向けた現地での画像検査だった。スティンガーグラスは27日、ウェリビーのメルボルン大学馬診療センターで、脚の下部に当たる四肢遠位部の必須CT検査を受けた。画像を独立して審査した専門家3人は、負傷リスクの上昇を示唆する所見があるとRV獣医部門に報告。陣営には、懸念部位をより詳しく調べるためのPET検査を受ける機会が設けられた。
追加検査の結果をCT画像と併せて検討した専門家は「現時点で負傷のリスクが高い」との見解を改めて示した。RV獣医部門の助言を受け、裁決委員が出走を認めない判断を下した。公表された説明は負傷リスクに関する評価であり、骨折など特定のけがが確定したとは述べていない。
RVの獣医プロトコルでは、海外から参戦する馬の渡航前検査にCTを推奨し、合理的に利用できない場合にはMRIを代替として認めている。日本には馬を立たせた状態で撮影できるCT装置がないため、スティンガーグラスは渡航前にMRIを受けた。一方、渡航前にMRIを受けていても、メルボルンCなど対象競走に出走する海外馬には、オーストラリアでのCT検査が必要となる。
RVの必須画像検査は、英国、米国、オーストラリアの専門家計7人で構成する独立パネルが担当し、各馬について選ばれた3人がそれぞれ審査する。今回は渡航前のMRIでは手続き継続に支障なしと判断されたが、出走前のCTと追加のPETでは異なる評価に至った。CTは骨の状態を詳細に確認でき、PETは病変部の活動を調べる検査。RVは、CTの所見をさらに調べるためのPET検査を25年から獣医プロトコルに導入している。
RVによると、30日午前10時(オーストラリア東部夏時間)の時点でメルボルンCの登録リストに残る34頭は、いずれも画像検査の結果が良好だった。第3次登録馬だった地元調教馬セントジョージも、獣医部門の助言に基づきメルボルンCから除外されている。最終出走登録の締め切りは31日午後4時30分(同)となっている。
