岩田 ワイルドで重賞3勝目/根岸S

2008年2月5日 06:00

直線抜け出して根岸ステークスを勝ったワイルドワンダー(右)

 雪で中止となった3日の東京競馬の代替開催が4日に行われ、メーン「根岸S」は1番人気ワイルドワンダーが外から鋭い脚を繰り出して重賞3勝目をマーク。悲願のG1・フェブラリーS(24日、東京)制覇へ名乗りを上げた。岩田康誠騎手(33)は京都金杯(エイシンデピュティ)、シンザン記念(ドリームシグナル)に続いて今年早くも重賞3勝目を飾った。

 神様、仏様、岩田様。この男の勢いには逆らえない。重賞3勝目、フェブラリーSへ前進したワイルドワンダーの快走は、岩田のスーパー騎乗に負うところが大きかった。雪の影響で水が浮いた極悪馬場。ダートは先行馬が残る競馬が続いたが、ダッシュひと息とみるや、岩田は12番手付近のインで慌てずにチャンスを待った。この選択が吉と出る。3コーナー過ぎでトウショウギアが故障、外を走っていた馬は少なからず影響を受けた。だが、インにいた岩田とワイルドワンダーには関係なし。スピードを持続したまま直線を向いた。「理想的な展開。エンジンも掛かってきた」。岩田は鞍上で思わず舌なめずりだ。
 その後のさばき方も完ぺき。まずマイネルスケルツィの直後で追い出しの機会をうかがった。2番人気馬をマークしていれば追うタイミングも計りやすい。残り300メートル。ドンピシャのタイミングで外へ。そこからの脚は凄かった。岩田の左ムチがうなり、懸命に逃げ込むタイセイアトムを並ぶ間もなく抜き去る。上がり3Fはメンバー中最速タイの35秒6。「この馬の競馬ができた」。泥だらけの鞍上は同じく泥にまみれたワイルドワンダーの首筋を抱きしめた。
 雪で中止となった3日は調整ルームから銀座へ買い物に行き、リフレッシュした岩田。次走のG1に向けて最高の感触を得た。「この(悪い)馬場で差し切るんだから凄い。普通の馬場ならもっといい。本番でも十分チャンスはある。モーマンタイ(広東語で「問題ない」)よ」。昨年12月に広東語が常用される香港の国際騎手対抗戦に騎乗し、腕を磨いた男は早くも今年重賞3勝。2、4日の両日で3勝を積み上げてリーディング首位(16勝)を堅守し、勢いは止まらない。「今年のオレは違うぜ」。引き揚げる岩田の明るい声が東京競馬場の地下道に響いた。

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2008年2月5日のニュース