NYじゃ敵なし!チャリスはオグリだ/JCダート

2008年12月5日 06:00

米国競馬殿堂入りを果たしたエドガー・プラード騎手を背に調整するティンカップチャリス

 阪神競馬場に入厩している外国馬ではティンカップチャリスが急上昇ムード。3日は初コンビが決まったプラードが騎乗しての調教で絶好の感触をつかんだ。

 北米を代表する名手の充実した表情に底知れぬ不気味さが漂う。阪神ダートコースで行われたティンカップチャリスの調教に、初コンビが決まったプラードが駆けつけた。馬場をじっくりと踏みしめるようにキャンター1周。「乗ったのは初めてだが、過去に2度対戦していい馬だなと思っていた。実際乗ってみたら凄く感触がよくて乗りやすい」。2月に通算6000勝を達成し、すでに米国競馬殿堂入りも果たしているプラードは笑顔で続けた。「阪神のダートはアメリカに比べて深いが、きょうの感じでは大丈夫。右回りも問題なく走っていた」。同じ阪神で行われるWSJSへの参戦も今年で6年連続7度目。仁川を知り尽くしている名手はコース適性にも太鼓判を押した。
 全米の中でも極端に頭数が少ないニューヨーク州産馬。2歳時にセリに出されたが馬体が貧弱で2000ドル(約20万円)の値しか付かず「主取り」(売却希望価格に到達せず、上場生産者が引き取ること)となった。父のクルセイダーソードの種付け料は1000ドル(約10万円)。そんな雑草ホースがデビュー戦から連勝街道をまっしぐら。無敗でニューヨーク州産馬限定の3冠レースを制覇した。とはいえ、活躍の舞台は日本で例えれば“地方競馬”。米国でも注目を集める存在ではなかった。同馬を生産し馬主兼調教師も務めるレセッシー師は「日本からの誘いは悪い冗談だと思った」と振り返る。
 だが、11月初旬に参戦を決意してからは実に意欲的。本拠地とするフィンガーレイクス競馬場で経験のない右回りを毎日猛特訓。他の米国馬より1週間早く来日し、競馬学校と阪神で念入りに乗り込んできた。「とにかく負けず嫌いな馬。日本のみなさんに“当たり馬券”を手にしてほしいね」と力強く締めくくった師。“米国版オグリキャップ”が日本でアメリカンドリームをかなえるか。

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2008年12月5日のニュース