【宝塚記念】ビートブラック 連対率断トツ9番ゲット
2012年6月22日 06:00 「第53回宝塚記念」の木曜追い切りが21日、栗東トレセンで行われた。天皇賞・春に続いてG1連勝を狙うビートブラックが迫力満点の動き。豪快なフットワークで坂路を駆け上がり好調をアピールした。この日、同レースの出走馬、枠順も確定したが春のグランプリで最も連対率のいい9番に決定。運も追い風に天皇賞馬が再び躍動する。
軽快というより、ズシリと響く重低音。それがビートブラックの走りだ。最終追いは坂路。前半こそ緩やかなラップでスタートしたが、ゴールに向けてどんどんピッチを上げていく。最後の直線は目いっぱいに手綱をしごかれ気合を注入されると、脚さばきの迫力が増した。雨でしっかりと水分を含んだ木片を、力強く後方に蹴り上げながらフィニッシュ。競走馬の毛色の中で最も黒い青毛馬。小雨の中でも不気味なくらいに輝く漆黒の馬体が、体調の良さを物語る。
計時タイムは4F53秒1~12秒5。理論派の中村師は、天皇賞・春の追い切りと比較して解説した。「前走は51秒5、12秒4とかなりいい時計が出たんだが、坂路が走りやすい状態で時計も全体的に速かった。きょうは雨で時計も掛かる。馬場を考えたら前走と同じくらいの時計と考えていい」。騎乗した寺倉助手は別の角度から成長を感じ取っていた。「以前は坂路のラストで13秒を切れなかったのに、最近はきっちり12秒台を出せる。自分からハミを取って走ってくれるようになった」
ロングスパートが奏功した天皇賞・春は4馬身差の圧勝。一方で18頭立ての14番人気とノーマークに近い存在だった。中村師は2つの事実を冷静に受け止めた上で控えめに分析する。「今回は天皇賞馬という肩書で注目されている面がある。長い距離でスパートすれば、後ろの馬がついてこないが、2200メートルだと後続の仕掛けも早い。舞台としては前回の方が有利。今回は強調材料が少ない」
だが、馬の状態についての話になると指揮官の口調が一変、熱を帯びた。「2週前から、かなりきつい稽古をしているけど、それでも馬体をふっくら見せるくらい。G1に向かう仕上がりとしては万全。文句なしだよ」。午後2時の枠順抽選。事前に「9番が欲しい」と話していた師は、見事に希望通りの馬番を引き当てた。過去52回で6勝2着7回。・342と断トツの連対率を誇るラッキー枠だ。「運が向いてきたかも」。再び激走ムードが漂ってきた。