菜七子騎手 悔しさ糧に成長を

2019年8月16日 05:30

調教騎乗で笑顔をみせる菜七子

 【競馬人生劇場・平松さとし】藤田菜七子騎手の初参戦で話題になったシャーガーCを観戦してきた。このイベントも毎年のように行っており、武豊騎手がその日のベストライドに選ばれた時など思い出深い年もあるが、最も印象に残っているのは2006年だ。この年、選出されたのは福永祐一騎手。前年にはシーザリオで日本のオークスに続き米国でアメリカンオークスも制するなど、国内外でG1を計6勝。これらの活躍が認められて招待された。

 当時、私は家族を連れ、武豊騎手も滞在していたフランスにいた。しかし福永騎手の初めてのシャーガーC参戦ということで単身ドーバー海峡を越え、応援しに行った。この時の福永騎手はくじ運が良く、騎乗馬5頭が全てそれなりの人気馬だった。レース前は当然、期待をしたがふたを開けてみると惨敗続き。勝利どころかポイントさえ稼げずに終わってしまい、ガックリとうなだれながら次のように言った。

 「豊さんがアスコットにはアスコットなりの乗り方があると言っていたけど、痛感させられました」

 その後14年にも選出されたが残念ながらまたも未勝利に終わった。しかし、経験を積み、すっかり日本のトップジョッキーの一人となった現在ならまた違う結果を残せるだろう。近い将来そんな日がきっと来るはずだ。

 藤田菜七子騎手も12人中10位という成績に終わり悔しそうな表情を隠さずにいたが、福永騎手だってそうだったのだから落胆する必要はない。なんたってアスコットで勝利した日本人騎手はまだ武豊騎手しかいないのだから、落ち込まず、良い経験として今後に生かしていただきたい。彼らが日本で、そして世界でさらなる活躍をする日が来ることを願ってやまない。(フリーライター)

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