“心優しきトレーナー”松下師、カラクレナイで2週連続重賞V狙う

2019年8月16日 11:06

エルムSのモズアトラクションに続く2週連続重賞制覇に挑む松下武士調教師とカラクレナイ(撮影・亀井 直樹)

 多くの関係者から祝福の声をかけられるのは、その人柄によるところも大きいに違いない。先週日曜のエルムSをモズアトラクションで制し、松下師は17年フィリーズレビューのカラクレナイ以来となる重賞タイトルを手にした。トレーナーは“幸運”を強調する。

 「土曜のダートは不良だったけど、脚質的に乾いてほしかったんです。それだけに天気が気になって、1時間起きにウェザーニュースでチェックしてました。やや重まで回復して良かったですよ。展開も向きましたし、終わってみれば内枠も味方しましたね」
 実は1週前の段階で出走に黄信号がともっていた。他陣営が急きょ参戦を表明したことで一時は抽選対象だったが、エアスピネルが回避したことで事なきを得た。「次走はシリウスSの予定。賞金を加算できたのは大きいですね」と安どの笑みを浮かべる。

 勢いに乗って、今週は北九州記念にカラクレナイを送り込む。前走のバーデンバーデンCで2年4カ月ぶりの勝利。末脚自慢の5歳牝馬に、厩舎としては2週連続の重賞勝ちを託す。

 「もともと運がない馬なんです。いつも外枠が当たるのに、直線競馬の時だけ内枠だったり…。前走も大外枠でどうかと思ったけど、内の馬場が悪かったから結果的に良かったですね」

 最終追いは当初、前走と同じ木曜の予定だったが、台風の影響を考慮して水曜に変更した。CWコース単走で行きたがった分、最後は伸びを欠いたが、もともと攻めでは難しい面を見せる馬。トレーナーも「馬場が悪くてのめっていたけど、状態はいいですよ。前に壁があれば折り合えますからね」と意に介さない。

 「今週も…となればいいけど、そんなにうまくいかないでしょう。2週連続はモズ(モズスーパーフレア)かもしれませんよ」
 ウィットに富んだコメントは本音というよりも、報道陣へのサービスだろう。厩舎ではスタッフに心身ともにリフレッシュしてほしいという思いから、火曜の午後は半休にしている。

 「スタッフを半分に分けて、火曜の午後は1週置きに休んでもらっています。人の気持ちは馬に伝わると思うから、気分良く働いてほしいんです」

 心優しきトレーナーの、2週連続の笑顔が見たい。

 ◆松下 武士(まつした・たけし)1980年(昭55)12月14日、大阪府出身の38歳。04年1月にトレセン入り。安田伊佐夫厩舎では攻め専としてメイショウトウコンを担当。清水久詞厩舎ではトウケイヘイローの海外遠征に同行した。14年に開業すると、同年の東京JSのオースミムーンで重賞初制覇。現役ではカラクレナイの他、モズアトラクションやジョーカナチャン、トオヤリトセイトなどを手がける。JRA通算92勝(うち重賞4勝、11日現在)。

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