【札幌記念】クルーガー 勝って父キンカメ後継名乗りだ
2019年8月16日 05:30 G2「第55回札幌記念」(18日、札幌)には、9日に死んだキングカメハメハの産駒が3頭出走。中でも豪州G1クイーンエリザベスSで史上最強牝馬ウィンクスの2着に好走したクルーガーが怖い。ボディー、メンタル共に偉大な父の面影を色濃く反映。豪華メンバーがそろった一戦で、弔いVをささげる。
札幌の木曜朝、厩舎の洗い場にいたクルーガーは実に落ち着いていた。知らない人が訪れても、カメラを向けられても何のその。松井助手は「普段から本当に落ち着いています。そういうところも(キングカメハメハ産駒)ぽいのかなと思う」。比較的穏やかな子が多いといわれるキンカメ産駒。前日の最終追いに騎乗した丸山も「操縦性が凄い。どんなレースでもできそう」と素直な性格にほれ込んだ様子だった。
キンカメ産駒は芝、ダート、距離を問わずオールマイティーに活躍。父はガッチリした500キロの肉体でNHKマイルC、ダービーの変則2冠を達成したが、そのパワーはストレートに産駒に受け継がれてきた。クルーガーの異様に盛り上がった尻はまさに父譲り。同助手は「いかにもキンカメらしいムキムキ体形。トモ(後肢)なんかも特有の四角い形がモロに出ている。多少雨が降って力の要る馬場も大丈夫だし、オーストラリアであれだけ走ってくれましたからね」と頼もしげに愛馬を見つめていた。
前走・クイーンエリザベスSは世界をひっくり返す寸前だった。大本命は単勝オッズ1・06倍のウィンクス。史上最強牝馬と称えられる同馬は世界記録更新のG1・25勝と33連勝をかけたラストラン。クルーガーはそのウィンクスに近い位置から鋭く伸びて、大波乱を予感させた。最後は1馬身半及ばなかったが、日本馬のレベルの高さを世界に知らしめる大健闘。「2000メートルも合っていたんだろうし、いろいろとかみ合った。帰ってきてからの中間の動きはキビキビしているし体調もだいぶ良さそうですよ」。16年マイラーズCで重賞初制覇を果たした後は不振の時期もあったが、豪州で自信を取り戻し、完全復活を期す。
G1馬ショウナンパンドラも手掛けた高野師が、早い時期から「どうにか種牡馬入りさせたい。それだけのポテンシャルがある」と言ってきた素質馬。札幌記念で4頭のG1馬を撃破し、次戦で予定する豪州G1コックスプレート(10月26日、ムーニーバレー)も制すれば、父の“正統後継”争いに一躍エントリー。ここはキンカメ産駒たちにとって、単なるG2以上の価値を持つ一戦になる。