【オークス】桜女王デアリング いざ無敗2冠へ!ミスオンワード以来63年ぶり大偉業に期待
2020年5月18日 05:30 歴史的瞬間を見逃すな。今週のG1は3歳牝馬の頂点を決める「第81回オークス」(24日、東京)。注目は63年ぶり史上2頭目となる無敗での春2冠制覇が懸かる桜の女王デアリングタクトだ。桜花賞→オークスを無敗で勝ったのは日本競馬の長い歴史の中でも、57年ミスオンワードのみ。令和の怪物牝馬の大偉業を目に焼き付けろ。
衝撃は府中へ。圧巻の走りで桜花賞を制したデアリングタクトがいよいよ東上する。無敗での桜花賞&オークス制覇となれば63年ぶり。平成、令和と連なる現代競馬では初となる大偉業を達成しうるスケールの大きさがこの馬にはある。
桜花賞でも歴史を塗り替えた。デビュー3戦目でのVは2歳戦が実施されるようになった46年以降では最少キャリアタイ。3戦無敗での桜の女王は史上初だった。新馬戦から手綱を取る松山は「馬場が悪かった(発表は重)けど、あれだけの脚を使って強い競馬をしてくれた」と回顧する。過去2戦は良馬場で圧倒的な力を見せていただけに鞍上には一抹の懸念もあったが、変わらぬ剛脚で一蹴してみせた。
振り返れば、同馬がその実力を知らしめたのは規格外の勝ちっぷりを見せた2戦目のエルフィンSだった。後方待機から馬群の大外を通って4馬身差圧勝。勝ち時計1分33秒6はあの名牝ウオッカ(07年)を0秒1上回るレースレコードだった。タイムだけではない。このレースで負かしたウインマイティー(忘れな草賞1着)、エーポス(フィリーズレビュー1着)、スマートリアン(スイートピーS2着)がその後のレースで活躍。デアリングタクトの強さが際立つ形となった。
ミスオンワードの快挙から、無敗の桜花賞馬4頭が樫の舞台に挑んだが勝つことはできていない。桜の女王の前に立ちはだかるのは一気800メートル距離延長の壁。杉山晴師は「折り合いが鍵になる」と話す。桜花賞でもハミをかんで掛かりかける場面があった。「オークスでも必ずどこかでかんで行くそぶりを見せると思うが、直線までうまく脚をためられれば」。最大の敵は自分自身。1週前追いに騎乗した松山は「追い切りでは落ち着きがあった。(このテンションなら)問題ない」と自信を見せる。
距離延長、初の長距離輸送、新たなライバル。越えなければならない障壁は少なくない。しかし、それも怪物にとっては取るに足りない問題か。歴史的名牝へ。自分に打ち勝ち、一直線に府中のビクトリーロードを駆け抜ける。
≪1957年の世相≫ミスオンワードが無敗での桜花賞、オークス制覇を決めた1957年は、前年に中山グランプリを創設した有馬頼寧理事長(当時)が1月9日に急死。同年から中山グランプリは故人の名を冠して有馬記念と改称された。その有馬記念はハクチカラが制した。社会的出来事としては2月に岸信介内閣成立。8月には東京都の人口がロンドンを抜いて世界一(851万8622人)に。流行歌は「東京だョおっ母さん」(島倉千代子)、「有楽町で逢(あ)いましょう」(フランク永井)。
▽ミスオンワード 父ハードソース、母ホールドタイト。樫山純三オーナーはアパレル大手、オンワード樫山の創業者。京都・武田文吾厩舎。1956年10月、新馬戦1着デビュー。5戦5勝で桜花賞に1番人気で挑み、2着ヒシチヨに1馬身3/4差つけて逃げ切り勝ち。オープン1着を挟み、オークスも1番人気。2着ヨドサクラに1馬身1/4差完勝。8戦8勝で2冠を手にした。連闘で出走したダービーでヒカルメイジの17着に大敗し、連勝は途切れた。その後、G1級競走を勝つことはできなかったが58年目黒記念(秋)など6勝を挙げた。
◆デアリングタクト 父エピファネイア 母デアリングバード(母の父キングカメハメハ)牝3歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・ノルマンディーサラブレッドレーシング 生産者・北海道日高町の長谷川牧場 戦績3戦3勝 総獲得賞金1億5737万5000円。