【安田記念】アーモンド、8冠お預け2着 国枝師「反応がちょっとね…」

2020年6月8日 05:30

<安田記念。2着でレースを終えたアーモンドアイ(撮影・郡司 修)

 覇気を失ったルメールの表情が全てを物語っていた。アーモンドアイは直線伸び切れず2着。ディープインパクトなどを超える芝G1・8勝の偉業はお預けとなった。前にのめるようなスタートでわずかに出遅れ。危なげなく好位4番手を確保したヴィクトリアマイルとは違う競馬を強いられた。「出遅れはうまくリカバーできた。勝ち馬(グランアレグリア)を見ながらスムーズに直線に向いた」とルメール。だが、掛け違えたボタンは元には戻らなかった。

 直線、残り400メートルすぎ。満を持してゴーサイン。だが、フェラーリに例えたいつもの加速がない。必死に追うが、先に抜け出したグランアレグリアとの差が詰まらない。インディチャンプを何とか捉え、2着を死守するのが精いっぱい。「最後も脚は使っている。でも、本来の彼女ならもっといい脚を使うはず」。ルメールは力なく言葉を絞り出し、独り言のようにつぶやいた。「勝った馬が強かった。一番怖かった」。勝ち馬は昨年暮れまで主戦を務めたグランアレグリア。ポテンシャルは熟知しているだけに、より悔しさが募った。

 国枝師はスタートを「ゲートで気持ちが高ぶって、タイミングが合わなかったね。過去にもあったから」と振り返った。初の中2週でのレース。「表向きは何ともないが、レースに行って影響したのかな。それにしても反応がちょっとね…」と完敗に肩を落とした。

 昨年もゲートのアクシデントが響いて3着。安田記念は鬼門だ。ただ、これで終わったわけではない。「仕方ない。秋がある。気持ちを切り替えるよ」。指揮官は前を向いた。ファン投票1位に支持されている宝塚記念はパス。夏は充電し雪辱は天皇賞かジャパンCか。G1・8勝の新記録は、大観衆が戻るであろう秋の大舞台に持ち越された。

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