新たな予想ファクター クッション値って何?高ければスピード競馬濃厚“時計勝負”呼ぶ一つの目安に

2020年9月8日 05:30

「クッション値」測定風景(JRA提供)

 JRAは今週開幕する中山、中京開催から芝馬場の「クッション値」を、公式サイト上で公表する。クッション値とは馬場のクッション性を数値化したもの。クッション性とは、競走馬が走行時に着地した衝撃を受け止める際の反発具合のこと。「クッション値が高い=馬場の反発力が高い」と考えられ、簡単に言えば「クッション値」は馬場の硬さを測る数値である。ファンへの新たな情報が、馬券的中への新機軸となるのか注目だ。

 競馬に新たな予想ファクターが加わる。JRAは今週金曜から、公式サイト上の「馬場情報」のコーナーで、芝馬場の「クッション値」を公表する。今後は毎週、開催日前日の昼と開催日当日の朝に計測した数値を掲示していく。従来は「良」「やや重」「重」「不良」の4段階で馬場状態を発表していたが、同じ「良」でも含水率の高低などによって、かなり馬場状態に違いがあった。パンパンの良馬場なのか、やや重に近いのか…クッション値はそのような不透明だった要素を、クリアにする数値になる。

 測定はクレッグハンマーと呼ばれる器具を使って行われる。ゴルフ場やサッカー場などで使われている簡易型硬度測定器だ。2・25キロの重りを45センチの高さから落下させ、馬場に衝突した際の衝撃加速度を測定。1カ所につき4回連続で落下させ、その4回目の数値をその箇所の測定値とする。コースの内柵から2~3メートルの場所をその地点の測定範囲とし、1地点につき5カ所測定、その平均値をその地点のクッション値とする。測定地点はゴール前、4コーナー、その間の各ハロン地点。各地点の平均値を「クッション値」として公式サイト上に公表する。

 当然、芝の種類によってもクッション値は変わってくる。洋芝が使用されている札幌、函館では地下部にできる細い根が密集したマット層がクッションとなり、また保水量も多いことから野芝の競馬場と比較するとクッション値は低くなる。そのため時計がかかる傾向となる。JRAによれば洋芝は7~8くらいで、野芝は8~10くらいが平均的な数値だという。

 ちなみに東京競馬場で行われた18年ジャパンCで、アーモンドアイが芝2400メートル2分20秒6の世界レコードを樹立した時のクッション値は、9・8、すでに公表を始めている含水率はゴール前13・3%、4角12・2%だった。もちろん各競走馬の能力や展開にもよるが、結果を見れば、この数値が“時計勝負”を呼ぶ馬場だった一つの目安となる。

 狙えるレースは?どの馬に向く馬場状態?今週末から公表されるクッション値を予想に加えることが、馬券的中への新たな指標となるかもしれない。

 ≪含水率と密接な関係≫クッション値は馬場表層の含水率と密接な関係があり、含水率が高くなるほどクッション値は低くなる傾向がある。ではクッション値を馬券作戦に生かすには、どのように利用するのがいいのか。いわゆる馬場が硬い状態ならば、レース自体の走破時計が速くなるのは間違いないだろう。したがって「クッション値」が高い日は、人気には関係なく、持ち時計上位の馬を狙って高配当を目指したいところだ。

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