【有馬記念】矢作師、“今年一番”ラヴズオンリーユーと厩舎連覇へ

2020年12月24日 05:30

矢作師

 20年は歴史的快挙がいくつも達成された年。矢作師は話題の中心にいた一人だろう。年明け以降を振り返ると「疲れた一年」というのが本音。ただ、それは充実した日々の裏返しで「本当に幸せな疲れ。他の人にはなかなか経験できないプレッシャーを感じていた」と笑みを浮かべる。

 開業16年目を迎えて「特別に重たいもの」と強調するクラシック3冠でコントレイルが勝ち続けた。「達成できて良かったけどファンの皆さんにもっと(コントレイルを)見てほしかった。来年は競馬場で見る機会が増えてほしい」とコロナ禍の収束を願う。

 人数の制限がなくファンが来場したのは2月23日が最後。あの日、フェブラリーSでモズアスコットが勝ち、芝&ダート双方のG1ウイナーになった。「遠い昔のように感じるね」としみじみ。「お客さんの前で表彰台に上がれたのはホースマンとして誇りに思う」と胸を張ると同時に、一日も途切れることなく続く開催の重みをかみしめる。

 有馬記念は昨年リスグラシューがラストランで有終Vを飾った。厩舎の話題としては連覇が懸かる暮れのグランプリ。その期待を背負ってラヴズオンリーユーが中山に乗り込む。「今年はドバイ遠征の中止で狂ってしまい、彼女にとって不本意な一年になってしまった。ただ、その中で今年一番の状態に持ってこられたと思う。道悪にならなければ」と一発を狙う。

 今年52勝で全国リーディング首位。2位・友道師に2勝差をつけている。57勝をマークした16年以来4年ぶり3度目の全国リーディングを懸けたラストウイーク。もちろん、その先も見据えている。「来年は古川奈穂(競馬学校騎手課程37期生)がデビューするので簡単な年にならないと思う。でも彼女がどれだけ頑張ってくれるのか楽しみ。それに現1歳は矢作厩舎の過去最高の布陣をそろえている。現2歳と合わせて来年の中央競馬を盛り上げていきたい」と力強く締めた。 

 ◆矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年(昭36)3月20日生まれ、東京都出身の59歳。日本有数の進学校、開成高校を卒業後、豪州に渡り武者修行。帰国後の84年、栗東トレセンに入り厩務員、調教助手を経て04年、14度目の挑戦で調教師試験に合格。JRA通算678勝、重賞46勝。G1は12年ダービー(ディープブリランテ)、19年有馬記念(リスグラシュー)など13勝。

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