【ヴィクトリアM】グランアレグリア“レベチ”!!史上初の古馬芝マイルG1完全制覇

2021年5月17日 05:30

<ヴィクトリアM>レースを制してガッツポーズするグランアレグリア騎乗のC・ルメール(撮影・白鳥 佳樹) 

 これが現役最強マイラーの真骨頂。春の最強牝馬決定戦「第16回ヴィクトリアマイル」が16日、東京競馬場で行われ、グランアレグリア(5=藤沢和)が単勝1・3倍の断然人気に応え5度目のG1V。史上初の古馬芝マイルG1(ヴィクトリアマイル、安田記念、マイルCS)完全制覇を成し遂げた。鞍上のクリストフ・ルメール(41)は昨年のアーモンドアイに続くレース連覇(通算3勝目)。管理する藤沢和雄師(69)は06年第1回のダンスインザムード以来となる2勝目を飾った。

 「やっぱり強かったね。今日はレベルが違った」

 ルメールのこのひと言に全てが集約されていた。スタートで少し遅れたグランアレグリアだったが、これは鞍上の想定内。「スタートが速ければ逃げ馬の後ろを取るつもり。遅ければミドルポジション。良馬場なら自信があったから、何の心配もなかった」

 縦長に伸びた馬群の中団を追走。直線に向くと迷わず大外に出した。残り400メートル。ライバル17頭の手綱が一斉に動く中、ルメールだけがノーアクション。200メートルすぎで軽く促し、離れた内ラチ沿いで粘るレシステンシアを捉えて先頭に立つと、初めてステッキ2発。そこで勝負あり。「馬が自分でハミを取りギアアップ。凄い加速。乗っていて気持ち良かった」。激しい2着争いを尻目に、4馬身差をつけて悠々とゴール板を駆け抜けた。

 藤沢和師は満面の笑みで人馬を出迎え、ルメールとはグータッチで喜びを分かち合った。「前走(大阪杯4着)で負けているのに、ファンの支持が高かったので勝てて良かった。いつもより気持ちが入っていたが、競馬では落ち着いて上手に走った」。自身の最多勝記録を更新する33度目のJRA・G1制覇だが、1頭の管理馬でG1・5勝は初めて。来年2月に70歳定年を迎える名伯楽にとっても集大成と言える1頭だ。

 これで昨年の安田記念、マイルCSに続きマイルG1・3連勝。次の目標はまず安田記念連覇。「オーナーと相談だが使うところは限られる」と師。そして秋は再び、2000メートルの天皇賞を視野に入れる。「大阪杯はスタンド前の発走で馬場も悪かった。東京の2000メートルならワンターンに近い舞台。牡馬相手になるが挑戦したい気持ちがある」ときっぱり。ルメールも「良馬場なら2000メートルでもG1を勝てるレベルにある。いける。大丈夫です」と力強い。スプリント、マイル、2000メートル。本来それぞれチャンピオンがいる3つのカテゴリーを、全て制圧する意気込みだ。

 2年続けて最強牝馬で圧勝したルメール。アーモンドアイとどちらが強い?そんな問いにはこう答えた。「アーモンドアイはG1・9勝、2400メートルまで勝った。だから現時点ではまだ少し上。でもグランアレグリアは(昨年の)安田記念でアーモンドに勝った。同じくらいのレベルにある馬。まだまだG1を勝てます」。日本競馬が誇る名トレーナーと名手の最強タッグが、アレグリアをさらなる高みへと昇華させる。

 ◆グランアレグリア 父ディープインパクト 母タピッツフライ(母の父タピット)16年1月24日生まれ 美浦・藤沢和厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績12戦8勝 総獲得賞金8億4903万7000円。馬名の由来はスペイン語で「大歓声」。

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