【オークス】ファインルージュ100点!「十全十美」休み明けひと叩き効果で非の打ちどころない仕上がり

2021年5月18日 05:30

ファインルージュの立ち馬(現場代表)

 距離適性に明暗が分かれた。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第82回オークス」(23日、東京)では桜花賞3着ファインルージュに唯一の満点を付けた。無敗牝馬2冠が懸かる白毛のソダシは次位の90点。達眼が捉えたのは両頭の2400メートル適性の差だ。

 18日は「ことばの日」。言葉の“葉”が5月の新緑のみずみずしさをイメージさせることから「こ(5)と(10)ば(8)」の語呂合わせでこの日に制定されました。言葉の記念日にちなんでオークス有力候補の馬体を四字熟語(あるいは三字熟語)で示すなら…。ファインルージュは「十全十美」がふさわしい。十全は少しの欠点もないこと、十美は完璧なこと。競馬に置き換えれば、勝つために必要な要素が全てそろっていて、非の打ちどころがない仕上がりを意味します。

 未経験の2400メートル戦にも十分に対応できる馬体。背中、腹下が長く、首差しが奇麗に抜けた、典型的な中長距離体形です。キ甲が抜けていない段階でこれほど首が抜けているのも珍しい。全身を伸ばして走れる首差しです。後ろに目を移すと、牝馬には珍しい野太い尾をゆったりと自然に垂らしています。太い尾にふさわしい立派なトモの筋肉。「首尾一貫」の言葉通り、首差しから尾、トモに至るまで非凡さが貫かれています。

 しかも、印象派の名画のように美しい。背中から腰にかけての流麗な輪郭、前後肢の絶妙なバランス、5月の新緑のようにみずみずしい張り、すてきな口紅(ファインルージュ)のような光沢を放つ毛ヅヤ…。キズナの産駒は見栄えしない馬体でも走りますが、この馬は全てが美しい。「十全十美」です。

 桜花賞時よりもキリッとして映ります。一本芯が通ったような印象。休み明けをひと叩きされた効果です。歴戦の牡馬のように大地をしっかりつかんだ立ち姿。りりしい顔立ちにも名牝の相が表れている。十全十美な樫の女王候補です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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