田辺 地元・福島で通算1000勝達成だ!あと4勝「とてつもなく大きな意味がある」
2021年7月2日 05:30 みちのくに競馬が帰ってくる。2月13日に発生した福島県沖の地震(福島市内は震度6弱)の影響で春の第1回開催が中止となった福島競馬が今週からスタート。話題の中心は同県出身で、JRA通算1000勝まであと「4」と迫る田辺裕信(37)だ。日曜重賞「第70回ラジオNIKKEI賞」には、初コンビのヴェイルネビュラ(牡=手塚)と挑む。
昨夏、開催リーディングを獲得して錦を飾った地元・福島競馬。先の地震で競馬場が被災し、スタンドの天井パネルが一部崩落、スタンドの窓ガラスが破損するなど大きな被害を受けた。田辺は「春の時点では夏も無理で中山で代替開催される可能性があると聞いていたので、まずは福島で競馬を開催できて良かった」と話す。一時は危ぶまれた地元開催が実現したことに胸をなで下ろしている。
夏の福島は、いつだって田辺が中心。19年は名物3歳重賞のラジオNIKKEI賞(ブレイキングドーン)を制し、18、20年は開催リーディングを獲得している。本人は「特別な意識はない」と笑うが、結果が“地元効果”を物語る。今もスタンドの復旧工事が続いているため無観客での開催となるが、「残念だけど、今はネットも普及していろんな形で競馬を見られますから、ぜひ応援していただきたい」と呼び掛ける。
先週は4勝の固め打ちに成功し、JRA通算の勝利数を996まで積み重ねた。開幕週にいきなり記録達成の可能性も十分にある。「“地元の福島で決めたいですか?”とよく聞かれるけど、自分としてはもっとスムーズに春に決めておきたかった。ただ、1000という数字はとてつもなく大きな意味がある。何年か前の僕には想像できなかった数字。100勝単位で区切りのセレモニーを受けてきたけど、正直ピンと来ていなかった。でも1000勝はひと区切りついたなと感じる」
土日合わせて6頭がスタンバイ。ラジオNIKKEI賞で初コンビを組むヴェイルネビュラには2週連続で追い切りに騎乗して特徴をつかんだ。「レースはスタート次第だが開幕週の福島なので、あまり後ろからの競馬はしたくない。ただ、位置取りにこだわり過ぎても良くない。いい馬なのでチャンスはある」。勝手知ったる地元で、今夏もファンを魅了する美技を見せる。
◇田辺 裕信(たなべ・ひろのぶ)1984年(昭59)2月12日生まれ、福島県二本松市出身の37歳。02年デビュー。14年フェブラリーSを16頭立て16番人気コパノリッキーで制しG1初制覇。JRA通算1万1694戦996勝(重賞35勝)。1メートル63、52キロ。