落馬から2年…地元・小倉で一皮むけた鮫島駿

2021年7月9日 05:30

鮫島駿

 【競馬人生劇場・平松さとし】先週のCBC賞(G3)を勝ったのはファストフォース(牡5歳、栗東・西村真幸厩舎)。8番人気の伏兵で勝利したのは鮫島克駿騎手(24)だった。

 彼の父は地方通算5000勝以上する克也騎手。祖父も佐賀の調教師なら兄も後にJRAの騎手という家庭環境だったため「小学生の時には騎手になりたいと考えていました」と言う。

 小学5年の時、小倉競馬場の乗馬苑で馬に乗り始めた。後に同じく騎手になる野中悠太郎少年と切磋琢磨(せっさたくま)し、12年に競馬学校合格。15年、栗東・浅見秀一厩舎からデビューを果たした。

 4年目の18年に自己最多となる42勝を挙げると、翌19年春、新潟で1頭の快速馬と出合った。直線1000メートルを連勝し、アイビスSD(G3)でも1番人気に支持されたライオンボスだった。自身初の重賞制覇のチャンスを得たわけだが、前日、アクシデントに見舞われた。小倉競馬場で、祖母と母が見守る中、落馬。大ケガを負い、翌日の重賞の鞍上を他の騎手に譲った。

 「ライオンボスが勝つシーンを僕は病院のベッドの上で見ていました」

 新潟での自身初重賞制覇はならなかった。しかし、その悔しい思いを胸に、秋に復帰すると、翌20年2月にはカデナで小倉大賞典(G3)を制覇。地元で重賞初制覇を飾ってみせた。

 雪辱を果たしたのは小倉だけではなかった。今春にはサンレイポケットを駆って新潟大賞典(G3)を優勝。レースこそ違うが新潟に忘れて来た“重賞制覇”を成し遂げた。そして、今回のCBC賞である。本来は中京で行われる重賞だが、今年は変則日程により鮫島克駿騎手のお膝元で行われると、この機会を逃さずに勝利した。2年前は落馬を目の当たりにしてしまった家族だが、この日はどうだったかを問うと、鮫島克駿騎手は答えた。

 「この日は偶然、父も佐賀で重賞を勝っていました。だから、家族は皆、凄く喜んでくれました」

 ちなみにCBC賞が今年の38勝目。昨年の37勝を抜く勝ち星となった。一皮むけた彼の騎乗に今後も注目しよう。(ターフライター)

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