【札幌記念】ソダシ復活V!早め先頭で古馬撃破、クロフネ産駒「2000の壁」破った

2021年8月23日 05:30

札幌記念を制した吉田隼騎乗のソダシ(左)と2着のラヴズオンリーユー=右(撮影・千葉 茂)

 北のファンの前で、真っ白な馬体が映えた。サマー2000シリーズ第4戦、G2「第57回札幌記念」が22日、札幌競馬場で行われ、2番人気の白毛の桜花賞馬ソダシ(牝3=須貝、父クロフネ)が早め先頭からねじ伏せた。前走のオークス(8着)で連勝はストップしたが、初の古馬相手の一戦で重賞5勝目。充実の秋へ、白毛伝説は第2章に突入した。

 白く、たくましくなったソダシが北の大地に帰ってきた。純白の馬体が4角を先頭で回る。限定入場の1409人から応援の拍手が飛んだ。声援はない。だが、ずしんと腹に響くようなボリュームがあった。そのまま先頭でフィニッシュ。吉田隼は左腕で力強くガッツポーズ。喜びを爆発させた。

 「ホッとしましたね。前に行っても止まらない馬場だったので自信を持って最後、追い出しました。早めに来られてもスッと反応できた。さすがG1馬」

 3歳牝馬にとって過酷な流れだった。次々と先輩G1馬が襲いかかった。2番手で流れに乗ったが、残り800メートルでブラストワンピースが馬体を併せてきた。譲らない。先頭に立つ。ブラストを振り切った。ゴール前はラヴズオンリーユーとペルシアンナイト。2頭の強襲も抑え切った。

 強気の騎乗。だが吉田隼は涼しい顔だ。「折り合いがつき、いつでも動けるというのが手綱から伝わってきた。復帰戦でソダシらしい競馬をしてくれた」。前走は2400メートルのオークス(8着)で初の黒星。1800メートルまでしか勝ち星がなく、血統的にも距離不安を指摘された。クロフネ産駒は平地重賞を40勝しているが、2000メートル以上の距離は未勝利。これが延べ133頭目の挑戦で初Vだった。純白の女王はついに距離の壁を跳び越えた。

 「クロフネ産駒は勝てないと言われていたが、それを破って新たな伝説をつくってくれたな」と須貝師。2000メートルの距離を克服したことで今後の選択肢は一気に広がった。「これは秋につながる。この後は札幌で様子を見ながらオーナーと相談して決めたい」。明言は避けたが、牝馬3冠最終戦の秋華賞(10月17日、阪神)へ、十分すぎるほどの弾みがついた。

 昨夏の函館でデビュー。2戦目の札幌2歳Sも無観客だった。初めて北海道のファンの前に白い馬体を披露した。「お客さんとこれだけ近いのは初めてだったけど、どっしりと歩いていたな」(須貝師)。白毛は現役馬8310頭のうち7頭のみ。わずか0・084%の白い奇跡が新たな伝説をスタートさせた。

 《SNSでも大反響》ソダシはSNSでもトップで駆け抜けた。レースを終えた22日午後3時45分すぎ、SNSで使われた「ソダシ」というワードは何と3万2681件に達した。「札幌記念」、「ヨカヨカ」といった競馬ワードもあふれ、「ブルーインパルス」「甲子園」などを大きく上回った。

 ◆ソダシ 父クロフネ 母ブチコ(母の父キングカメハメハ)18年3月8日生まれ 牝3歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・金子真人HD 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績7戦6勝 総獲得賞金3億3714万2000円。馬名の意味はサンスクリット語で「純粋、輝き」。

 【札幌記念アラカルト】

 ☆騎手&調教師 吉田隼の重賞勝利はソダシの桜花賞に続き今年2勝目で通算22勝目。須貝師はエルムS(スワーヴアラミス)に続き今年3勝目で通算41勝目。

 ☆牝馬ワンツー 牝馬のワンツー決着は97年(1着エアグルーヴ、2着エリモシック)以来24年ぶり3度目。

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