【凱旋門賞】スノーフォール 道悪歓迎、日本勢に立ちはだかるディープ娘 陣営も自信
2021年10月1日 05:30 「第100回凱旋門賞」(3日、仏パリロンシャン、日本時間午後11時5分発走)の枠順が30日、決定した。日本馬の悲願に立ちはだかるのが、まさかあの馬の娘だとは。日本産ながらアイルランド調教のディープインパクト産駒スノーフォール(牝3=A・オブライエン)だ。前哨戦ヴェルメイユ賞で2着に敗れたものの、陣営の自信に全く陰りなし。エイダン・オブライエン師(51)&ライアン・ムーア(38)のコンビが5年ぶりの凱旋門賞制覇を狙う。
100回の節目を迎えた凱旋門賞は発走前から波乱含みとなった。道悪を理由に前哨戦ヴェルメイユ賞覇者ティオーナが回避を決定。パリロンシャン競馬場があるパリは週末にかけて雨の予報で、すでにソフトだった芝コースのコンディションがさらに悪化することが予想される。
日本勢には逆風とも思える悪天候。意外にも歓迎の意を示すのが日本生まれのディープインパクト産駒スノーフォールを管理するA・オブライエン師だ。馬場攻略に自信をのぞかせる。「苦にする馬もいるだろうが、エプソムでの走りを見れば彼女は問題ない。軟らかい馬場が上手だし、ライバルと比べても不利にはならない」。名伯楽が指摘したのは同馬の伝説の始まりとも言える英オークスでの走り。やや重の馬場で同レース最高着差の16馬身差をつけた独走劇。このG1初制覇を皮切りに欧州オークス3冠の偉業を成し遂げた。
現地では前走ヴェルメイユ賞での敗戦で評価をやや落としているが、指揮官は強気な姿勢を崩さない。「前走でロンシャンでの動きを確認したが、彼女自身の走りには満足している。前走は馬場が硬かったし、明らかなスローペース(前半1400メートルが1分32秒3)の極端な上がり勝負。勝ち馬はうまくレースをしていたね。それでもスノーフォールは後半の上がり最速だったし、いい叩き台になったよ」。最終コーナーで7頭立ての最後方に位置したスノーフォール。前残りの流れで2着まで浮上したのは脚力の証明でもある。同レースの1着馬ティオーナに騎乗していたO・ペリエも「スノーフォールは凄く強い牝馬」と評しており、本番での巻き返しは十分にある。
A・オブライエン師と主戦ムーアのコンビは16年にファウンドで凱旋門賞制覇。ファウンドの1つ下の全妹ベストインザワールドが日本に渡り、ディープインパクトを種付けしたのが17年。一流のホースマンは常に未来を見据える。悲願成就へ挑戦を続ける日本勢に立ちはだかる日本生まれのヒロインは、おそらく5年前の凱旋門賞の時に今この時を見越して生産された日愛競馬の結晶。追加登録料(12万ユーロ)を支払っての参戦は勝負になるからこそ。19年夏に急死した父ディープインパクトの無念を晴らす勝利へ。“ライバル”であるはずの日本からも熱視線が注がれている。
▽オークス3冠 6月に英国・エプソム競馬場で行われる英オークス、7月のアイルランド・カラ競馬場の愛オークス、8月英国・ヨーク競馬場の3歳古馬混合戦であるヨークシャーオークスと、オークスの名を冠した3つのG1のこと。欧州12F路線の牝馬限定G1基幹競走シリーズ。88年にディミヌエンドが初の3冠達成。17年3歳当時のエネイブルは英愛オークス→キングジョージ→ヨークシャーオークス、さらに凱旋門賞を制した。