【JBC2021は11月3日開催】JBCクラシック過去連覇コパノリッキー輩出のヤナガワ牧場の想い

2021年10月31日 11:00

ヤナガワ牧場の梁川正普代表

 全国の競馬場で持ち回り開催となるダート競馬のJBC競走。今年は11月3日に金沢競馬場と門別競馬場で行われる。JBCクラシックはJBCスプリントとともに01年に始まり、今年で21回目。名だたる名馬が優勝しているレースで、コパノリッキーは14、15年に連覇を果たしている。コパノリッキーを生産したヤナガワ牧場の梁川正普代表(51)が、思い入れの強い名馬とJBC競走について語った。

 コパノリッキーはJpn1のJBCクラシックの2勝を含め、G1格相当のレースでは史上最多の11勝を挙げている。「重賞を一つ勝つのは大変ですし、G1というと生産者にしては夢の舞台。そういう位置づけにあるところですから、何勝もできるのはうれしかったし、自分の生産馬ながら凄いと思いました」と振り返る。

 幼い頃のコパノリッキーは、同年代の馬と放牧で交じっても目立つ存在ではなかった。「先頭を切って走ったりとか、他の馬が来たら強いとかではなかったですね。水を飲むのも強い馬から先に来るのですが、後ろの方だったりしました」という。競走馬の資質があったことから「馬主さんには迷惑をかけない程度には走るという感覚はありました」と言うものの、デビュー戦では8着に敗れた。徐々に本領を発揮していったところで骨折にも見舞われた。ただ「勝つときの強さは“次もあるな”と思わせるものがありました」と信頼は揺るがなかった。その通りに、古馬になると見違えるような活躍が続いた。

 14年はフェブラリーSでG1初制覇を飾ると、かしわ記念(Jpn1)も制した。帝王賞(Jpn1)の2着を挟み、満を持して迎えた盛岡競馬場でのJBCクラシック。その場には梁川氏も足を運んでいた。3番人気から激走し、レコード勝ちを収めた。「盛岡競馬場はサンライズバッカスで応援しに行ったことはありましたが、あまり行かないような競馬場に行って勝つというのは、凄く新鮮でした」。翌年に大井競馬場で開催されたJBCクラシックでも連覇。その強さは揺るぎないものとなった。

 コパノリッキーだけでなく、G1・7勝のキタサンブラックなども輩出しているヤナガワ牧場だが、ダートのビッグレースであるJBC競走への思い入れは強い。梁川代表は「中央競馬でもダートのG1はありましたが、どちらかといえば芝がメーン。地方競馬はダート。こうやってきちっと重賞とかG1を整備していただいたので、ダート競馬でも夢を見られるというのがあります。その中でJBCは代表戦というか大きなレース。それに出るとなれば凄いなという感じはありますね」と捉えている。

 ヤナガワ牧場は67年の創業で、梁川氏は12年に3代目の代表となった。「馬が高く売れたり、重賞、G1を勝ったりすることはもちろんうれしい」と言うが、一番のやりがいはやはり馬を生産することだ。「いろいろ配合していって、こういう馬が生まれるんじゃないかと予測します。そう思いながら種付け料を懸けて、場合によっては繁殖を導入したり。生まれ落ちたとき、“これは配合がうまくいったな”というのが一番面白いかなという気はしますね」。

 そんな馬たちがファンの期待に応える走りをすることで、競馬界は盛り上がっていく。そういう状況を踏まえた上で、梁川代表は「もっとファンの方々に馬を応援してもらえるような、今以上の環境づくりをしてもらいたい」と考えている。「馬券を今はインターネットでも買えるので、家にいても臨場感があるようにしてもらいたい。それを見て“競馬場に行ってみてみたい”という気持ちを沸き立てるようなつくりにしてもらえば。実際に見に行かないと振動や蹄の音は分からないですから。我々も応援したいと思える馬をつくっていかないといけないですね」。現状に満足することなく、競馬界とファンのために生産者として尽力していく覚悟だ。

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