【阪神JF】サークルオブライフV!鬼脚2歳女王“牝馬の国枝”また逸材、ミルコは2歳G1完全制覇
2021年12月13日 05:30 12日、阪神競馬場で2歳女王決定戦「第73回阪神ジュベナイルフィリーズ」が行われ、3番人気サークルオブライフ(牝=国枝)が外から差し切ってG1制覇。鞍上のミルコ・デムーロ(42)は当レース初制覇を飾り、朝日杯FS(10、12、15、18年V)、ホープフルS(18年V)を合わせ、福永祐一に続く2人目のJRA2歳限定G1完全制覇となった。
兄の意地だ。デムーロ・ブラザーは直線で内外、分かれての追い比べ。兄ミルコは大外、弟クリスチャンは最内に進路を取った。それぞれラスト1Fで5、6番手まで浮上。そこから桁違いの加速で差し切ったのが兄騎乗のサークルオブライフだった。検量室前に引き揚げてきたミルコは馬上で「ヨッシャー。ありがとう」と感謝。国枝師と抱き合って勝利をかみしめた。
「とってもうれしい。素晴らしいね。直線は結構、外に行ったが、じりじり伸びてくれた。レース前に国枝先生とは“勝つイメージしかない”と言っていたぐらい。自信はあったよ」
クリスチャン騎乗のナミュールはスタートで大きく出遅れたが、兄は五分に出てスムーズに流れに乗った。勝負どころで前にいた上位人気のウォーターナビレラ、ベルクレスタを見ながら進出を開始。ミルコは「スタートが一番大事だと思っていた。バテないのがストロングポイント。(直線の)坂のところで負けないと思ったよ」と振り返った。
コロナ禍で会えなかった兄弟。先月末のジャパンCで来日したクリスチャンとは3年ぶりの再会。弟は昨年の凱旋門賞をソットサスで勝ち、世界のトップジョッキーになった。この日の阪神でも3勝をマーク。兄は「どこでも、クリスチャンはとてもうまいね。負けたくなかったし、勝てたのはうれしい」。1番人気に騎乗していた弟の前で兄の意地を見せた。
ミルコは阪神JF10回目の騎乗で初V。朝日杯FS、ホープフルSと合わせて2歳G1は完全制覇(福永に続く2人目)となった。「このレースを勝ったことがなくて悔しい思いもあった。うまくいって、うれしいね」。3年前にはクリスチャンがダノンファンタジーで先に当レースを勝っており、吉田豊&隼人に続く史上2組目の兄弟制覇となった。
管理する国枝厩舎からはアパパネ、アーモンドアイ、アカイトリノムスメに続く新たな名牝の誕生だ。国枝師は「メンタル面もいいし、輸送は大丈夫だと思っていた。実際、カイバも食べていたからね。(直線は)安心して見てられたよ」と優等生ぶりに目を細める。
未勝利から3連勝で2歳女王へ輝いた。この後はひと息入れ、来春のクラシックに備える。師は「距離は元々、長いところがいいと思っていた。桜花賞も勝てればオークスはより自信を持って出せる。来年が楽しみ」と期待を寄せた。グランアレグリアやラヴズオンリーユー、クロノジェネシスなどハイレベルな5歳牝馬が続々と引退、もしくは暮れにラストランを迎える。新世代のヒロインが来年、どんなレースを見せるか楽しみだ。
◆サークルオブライフ 父エピファネイア、母シーブリーズライフ(母の父アドマイヤジャパン)19年3月24日生まれ 牝2歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・飯田正剛氏 生産者・北海道新ひだか町の千代田牧場 戦績4戦3勝(重賞2勝目)総獲得賞金1億257万3000円 馬名の由来は命の輪(母と祖母プレシャスライフの名より連想)
【阪神JFアラカルト】
☆騎手 M・デムーロのG1勝利はオークス(ユーバーレーベン)に続き、今年2勝目で通算34勝目。弟のC・デムーロが18年にダノンファンタジーで勝っており、吉田豊&吉田隼に続いて史上2組目の兄弟制覇。
☆調教師 国枝師のG1勝利は秋華賞(アカイトリノムスメ)に続き、今年2勝目で通算21勝目。牝馬限定G1は通算11勝目で現役の調教師では最多。
☆種牡馬 エピファネイア産駒のG1勝利は天皇賞・秋(エフフォーリア)に続き今年3勝目で通算6勝目。
☆関東馬 16年ソウルスターリング以来、5年ぶり9勝目。G1ワンツーはマイルCSに続いて今年8回目。年間8回はグレード制導入の84年以降では最多。