【有馬記念】クロノジェネシス 有終GP4連覇へ妙手!女王は最後まで隙見せず

2021年12月23日 05:30

ヒンドゥタイムズ(右)と併せ馬で追い切るクロノジェネシス

 中央競馬の大一番「第66回有馬記念」(26日、中山)の追い切りが22日、東西トレセンで行われた。栗東では史上初のドリームレース4連覇を目指すクロノジェネシス(牝5=斉藤崇)がCウッドチップコースで併せ馬。気持ちのこもった動きで好タイムを叩き出し、隙のない仕上がりぶりを見せつけた。同レースは23日、出走馬と枠順が確定する。 

 静と見せて動。これが希代の名牝クロノジェネシスが最後にたどりついた境地だ。6F(1200メートル)81秒1。「悪くはないと思います」。斉藤崇師のコメントは普段と変わりないが、明らかにいつも以上に負荷をかけていた。昨年の宝塚記念が82秒2、同年有馬記念が83秒8、今年の宝塚が85秒2。最後のひと伸びを引き出すべく、勝負手を打ってきた。

 Cウッドチップコースでヒンドゥタイムズ(5歳オープン)を12馬身追走した。3コーナーに差しかかるまで無理に差を詰めない。馬も我慢の利いた走りで応えた。手綱を取った団野(レースはルメール)のゴーサインで4角手前、軽くギアを上げる。四肢の回転が瞬時に上がった。内から並びかける。いつでも前に出られそうだが出ない。相手を抜き去るのは本番に取っておいた。6F81秒1~1F(200メートル)11秒9、馬なり併入。いつも通りの併せ馬に見せて、全体時計(7F97秒2)も最後のラップも実は速い。魔術のような追い切りで大団円への準備を整えた。

 「動けるパートナーを用意しました。うまく流していったこともあり、折り合いに関しては大丈夫でした。いい頃に比べると並びかける時が少し物足りない感じだけど悪くないでしょう」。控えめな同師から、これだけのコメントが出れば大丈夫だ。

 パリロンシャンへと遠征した前走・凱旋門賞はキャリア最低の7着。「前日夜からの大雨で馬場が軟らかかった。タフなレースでよく頑張ってくれた」(同師)。帰国後は休養を挟み、今月2日にトレセンへ帰厩。「ドバイ帰り(シーマクラシック2着→宝塚記念1着)の時は体がガリガリでしたが、今回はそんなこともない。傷みもなかった」と順調ぶりを強調する。

 同期はしっかりと引退戦を飾った。桜花賞馬グランアレグリアはマイルCSを、オークス馬ラヴズオンリーユーは香港Cを快勝。最強世代の秋華賞馬として期するものはある。3歳馬の勢いは感じているが、時代をけん引したドリームレース3勝馬として、ここは譲れない。「デビューから3年ちょっと。いつも一生懸命に頑張ってくれました。今回が最後。楽しんで走って、ファンの声援に応えてほしい」。指揮官の思いに応える態勢は整った。

 《史上初のドリームレース4勝なるか》ファン投票で選出されたドリームレース、つまり有馬記念と宝塚記念を3勝した馬はクロノジェネシスを含めて5頭。4勝した馬は過去になく、クロノジェネシスは史上初の偉業にチャレンジする。有馬記念連覇は過去に4頭(スピードシンボリ、シンボリルドルフ、グラスワンダー、シンボリクリスエス)いる。クロノジェネシスも栄光の系譜に名を刻むか。

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